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『八月の銀の雪』 伊予原新 33

八月の銀の雪

伊予原新(いよはら しん)

新潮社

 世の中には自分が知らないことがたくさんあるのに、それに気づかないまま生活しています。科学的なことって、実は身近なことであっても難しそうって敬遠してしまっていることもあるのでしょうね。

 表題作「八月の銀の雪」のグエンが語る地球内部のこととか、「玻璃を拾う」に登場する顕微鏡でなければ見えない世界とか、こうやって説明されと、面白い世界なんだなぁってことがおぼろげに見えてきます。

 「海へ還る日」のクジラの話は、先日大阪湾で死んでしまった「よどちゃん」のことを思い出しました。本当は、この話に出てくるような手順で標本にしたかったんでしょうね。それを阻んでしまったのは何だったのかしら?

 そして、伝書鳩や風船爆弾を知っている人はどんどん減っていくのだろうから、こういう形で後世に残していくのって大事なことだと思います。

この5篇が収められています。

・八月の銀の雪
 コンビニで働くベトナム人店員グエンのことをただのどんくさい奴だと思っていた。

・海へ還る日
 クジラって大きいんだねぇ

・アルノーと檸檬
 老婆はアルノーという名前の鳩を飼っていた

・玻璃(はり)を拾う
 ガラス細工だと思っていたものが、実は珪藻だったとは

・十万年の西風
 空に舞い上がる凧が縁で知り合った人は、風船爆弾の話をし始めた

 

 理系の人だからこそ書ける物語に、ロマンを感じたり、歴史を感じたりしました。とてもステキな短編集でした。

2695冊目(今年33冊目)

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