『つる子さんからの奨学金』 まはら三桃 52
もうすぐ中学3年生になる、わかばさんと、いとこの樹くんは99歳の曾祖母、つる子さんから奨学金を出そうという提案されました。ただし、それには条件があって、今は入れそうな学校よりワンランク上へ入れたらという話だったのです。
わかばさんは進学向けの塾へ通うようになり、猛勉強を始めます。そして、少しずつ成績が上がっていくのがうれしいという気分になってきました。でも、一緒に塾に通っていた友達が、この塾に通うのは辛いといってやめてしまったあたりから、わかばさん自身も悩みを感じてきたんです。
将来自分は何になりたいのか?という目標があって、そのために進学する学校を選ぶというなら悩みはなかったのでしょうけど、わかばさんには将来の目標が見つかっていなかったのです。だから今は、レベルの高い高校へ入りたいということだけが目標になってしまっていて、自分は一生懸命に勉強しているつもりなのに、親はうるさいし。勉強しているのは誰のため?、何のため?という気持ちになってしまったのだと思います。
曾祖母のつる子さんが子どもの頃、女だからというだけで進学を諦めさせられそうになったので、苦労して女学校へ行ったという話がこの物語の発端です。わかばさんのお母さんだって4年制大学へ行きたかったのに短大にしか行けなかったとか、教育の男女格差についての話がいろいろと登場します。
そして今でも、同じ高校を受験するのに男子の方が入りやすいところがあるとか、そんな現実を突きつけられた中学3年生ってつらいよねぇって思いながら、この本を読みました。
塾に通わなければ希望の学校へ入れないという今のシステムって、おかしいですよね。学校という場所が軽く見られているような気もするし、結局お金がなかったらしょうがないって話じゃないですか!
なんだかこの本って、中学生より大人が読むべき本だなと思えてきました。
#つる子さんからの奨学金 #NetGalleyJP
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