『不思議カフェ NEKOMIMI』 村山早紀 40
律子さんは50代の独身女性です。今日まで毎日こつこつと働き、家に帰ってから本を読み、紅茶を淹れて音楽を聴くことが楽しみでした。両親がいない彼女は祖父母に育てられ、お金持ちではないけれど、つつましく幸せに暮らしてきました。
でも彼女の命はここまでのようなのです。そのかわり、彼女は魔法使いになって、これまでと全く違った生活が始まったのです。
魔法使いになったと言っても、大それたことができるわけではありません、出会った人に喜んでもらえるようなご飯を作ったり、猫たちと話ができたりして、律子さんは不思議な世界を旅することになったのです。
序 章 魔法の始まり
第一章 黄昏のひなまつり
第二章 花のもとにて
第三章 不思議の庭
この物語に登場する人たちは、子ども時代に寂しい思いをしていたのに、それを外に向かって言えなかった子たちです。家族や友達ががいない彼らを見守ってくれたのは「あやかし」たちだったのでしょうか。大人にはその姿は見えないし、声も聞こえません。でも、その子には見えていたんです。やさしい気持ちが伝わってくるから、怖くないんです。一緒に遊んだり、おしゃべりしたりしていたんだけど、大人になってから思い出してみると、それが夢だったのかもしれないって思うんです。
律子さんも、きっとそんな子だったのでしょうね。だからこそ、魔法使いになってみない?って誘われたのかもしれません。これまで旅に出ることもなかった人生だったのに、これからは、好きなところにいつでも行けます。そして、そこで出会った人を幸せな気持ちにする使命を託されたのかもしれません。
この本は読書メーターから頂きました。ありがとうございます。
2702冊目(今年40冊目)
« 『もうあかんわ日記』 岸田奈美 39 | トップページ | 『生贄探し』 中野信子、ヤマザキマリ 41 »
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『移動図書館ひまわり号』 前川恒雄 24-258-3284(2024.09.09)
- 『町の本屋という物語』 奈良敏行、三砂慶明 24-257-3283(2024.09.08)
- 『さやかの寿司』 森沢明夫 24-276-3302 (2024.09.27)
- 『ヒトミさんの恋』 益田ミリ 24-159(2024.06.03)
- 『じゅげむの夏』 最上一平 24-137(2024.05.12)
コメント