『Chatter 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』 イーサン・クロス 65
Chatter (チャッター)
「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法
Chatter: The Voice in Our Head, Why it Matters, and How to Harness it
イーサン・クロス
Ethan Kross
鬼澤忍(おにざわ しのぶ) 訳
東洋経済新報社
わたしたちは、様々な理由で悩みます。他人から悪意のある言葉を受け取ってしまったり、何かを失敗してしまったり、でもそれはある一瞬の出来事です。問題なのはその後、頭の中で「何であの時に」「自分はダメだ」「わたしは嫌われている」「あいつは嫌な奴だ」「もう生きている意味がない」・・・というような言葉(Chatter)が鳴り響き続けるのです。それによって痛めつけられてしまうことを分かっていても、それから逃れることができないという思いをした人は多いと思います。わたしもその1人です。
(ジル・ボルト・テイラーは脳卒中になった後)内なる声が失われたせいで、彼女はチャッターから解放されていた。彼女にとって、このトレードオフにはそれだけの価値が感じられた。p48
おお、あの「奇跡の脳」のジル・ボルト・テイラーの話がいきなり登場しました。わたしたちが捨てることができずに困っていた「内なる声」を、彼女は脳卒中になったおかげで捨てることができたのです。その他にも捨てることができたことがたくさんあると彼女はこの本の中で語っていました。
「距離を置いた自己対話を活用しよう」
困難な状況を切り抜けたいときは、自分を指すのに、名前や二人称の「あなた(you)」を使おう。それによって、脳内の反芻に関わるネットワークの活性化が抑えられ、ストレスのある状況でもパフォーマンスの向上や、より賢明な思考や、ネガティブな感情の減少が期待できる。p266
(わたし)どうしよう、どうしようと考えていると、そこから抜けられなくなってしまうのです。そんな状況で、自分の名前や「あなた」をつけて自分に語りかけていくと、問題が単純化するというのです。たとえば人前で話をしなければならないときに、ただ「どうしよう」と思っていると「どうしよう」だけが反復し、パニックに陥ってしまうことだってあります。
そんなときに、「あなたは、こういうときにどうしたらいいと思う?」と自分自身に問いかけてみるといいというのは、意外だけど、確かにそういうことはあるなぁと思うのです。
「思ったままを書いてみよう」
ネガティブな経験をめぐる心の奥底の想いや感情を書くことを、一日に15~20分、1日~3日間続けてみよう。志向の流れを書きとどめる際、ありのままの自分を出そう。語り手の視点で自分の経験に注目すると、その経験から距離を取ることができるので、なぜその感情を抱いたかがわかり、やがて気分が和らいでいく。p269
わたしは読んだ本について毎日書くことで、いろんなことを思い出しています。いいことも悪いこともあるけれど、忘れ去っていた子どもの頃の記憶がよみがえってくることがよくあるのです。
今思い出したのは、小学校1年生の最初の日のことです。クラスのみんなが1人ずつ何かの係を先生から指示されていたのに、わたしだけ何も言われなかったのです。わたしは先生のところまで行って、こう聞いたんです。「〇子だけ何も言われなかったんだけど、それでいいの?」ってね。先生はすぐに謝ってくれて、「〇子ちゃんは△係ね」って言ってくれたんです。
たぶんあの時、わたしは自分に自分の名前で問いかけていたのだと思います。そして、そのままの形で先生に質問したから良かったんですね。何も言わずにいたら、自分だけ何もしてもらえなかったという思いに取りつかれてたかもしれないなぁ。
自問自答することは大事なことです。でもそれが自分の中だけでグルグルしてしまったら、それはストレスでしかありません。自分を第三者的に見ることで頭がスッキリするということを、多くの人に知ってもらいたいなぁ!
それ以外の方法も、「自分なりのルールを守る」とか「自然を体験する」とか簡単なことばかりなので、ぜひ実践してみようと思います。
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