『いやし』 <医療>時代小説傑作選 84
江戸にはいろんなお医者さまがいました。上手なお医者さまも藪医者もいるし、闇のお医者さまもいます。武家の人たちを診るようなたいそうな方々は、ここには登場しません。江戸の庶民を診てくれるのは、口は悪くとも熱い心の方々です。
内科や外科だけでなく、歯科もあったというのはスゴイですね。江戸時代にだって、おいしいものばかり食べている人たちに虫歯はできますよね。
そして、外科手術は大変だったでしょうね。麻酔なしで切られちゃうのは痛そうだなぁ。そして傷口を縫うという場面もあったけど、どんな針で縫っていたんだろう?
「春の夢」のお春さんも、「敵待ち」の凛さんも、これまでは大変な人生だったけど、これからは明るい暮らしができるといいねぇ。彼女たちみたいな悲しい運命の人はさぞかし大勢いたんだろうな。
江戸の庶民を守ってくれるお医者さまたち。彼らが必死に治療してもすべての人が良くなるわけじゃありません。力を尽くしても亡くなってしまう人がいるのはしょうがないことなんだけど、それを恨んで医者の命を狙う人までいる。それも覚悟でこの仕事をしていると言い切れる「仇持ち」の先生は偉いなぁ。
この5篇が収められています。
・藪医 ふらここ堂(藪医 ふらここ堂 ) 朝井まかて
・春の夢(闇医者おゑん秘録帖)あさのあつこ
・菊姫様奇(口中医桂助事件帖 手毬花おゆう)和田はつ子
・仇持ち(書き下ろし)知野みさき
・寿の毒(<完本>初ものがたり)安倍みゆき
2746冊目(今年84冊目)
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