『いきもののすべて』 フジモトマサル 86
「いきもののすべて」に登場するのはパンダ、ヒツジ、ペンギン、スカンクなどの動物たち。「マガオくん」はウサギ、「ある平凡な一日の終わりに」にはウサギ、リス、オオカミが登場します。人間はひとりも出てこないけど、どの話を読んでいても「こんな人いるよねぇ」って思うのです。
マガオくんは表情が乏しいので、周りからロボットみたいねぇって言われるけど、実は反応が遅いだけみたいね。価値観がみんなと違うってところもあるのかな?会社のみんなから「マガオくんは頼りになるね」って言われても、実は面倒くさいことを押し付けられているだけってこともちゃんとわかってる。でも真面目だから、イヤな仕事もちゃんとやってる。典型的な日本のサラリーマンだなぁ。
「ある平凡な一日の終わり」で、マガオくんらしき登場人物が「核」と書かれたボタンを何の躊躇もなく押してしまう所が、わたしたちって、気がつかないうちにこんなことをしちゃうのかもしれないという怖さに溢れてる。
フジモトマサルさんが描く世界は、可愛い登場人物がとんでもないことを考えている、とんでもないことをしてしまう。という所が魅力なのよね。
2748冊目(今年86冊目)
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