『ペットショップ無惨 池袋ウエストゲートパーク XVIII 18』 石田衣良 66

ペットショップ無惨
池袋ウエストゲートパーク XVIII 18

石田衣良（いしだ いら）

文藝春秋

　日本のペットショップ業界がいかに酷いかというのを、動物愛護運動をしている友人から聞いていましたが、ついにIWGPでも取り上げられるようになったというのは、感慨深いです。

　店頭のショーケースに子犬や子猫を並べて売っているのは日本だけなんですよ。動物愛護の観点から、そういう商売はしてはいけないと海外では法律もできています。生まれてすぐに親元から引き離して販売対象にするということも、いけないことです。でも、今の日本では生後すぐから半年くらいの子ばかりがショーケースに並べられ、その時期を過ぎたら売れ残りという扱いで処分されてしまうか繁殖用として過酷な生活を強いられるのがほとんどなのです。

　最近のニュースでも取り上げられていましたけど、コロナで家にいる時間が増えてペットを飼う人が増えたのだけど、コロナが収まってきて、会社に出社するようになり、世話をできなくなったと言って保護施設にペットたちを連れてくる人や、山や公園などに捨ててしまう人が増えたのだとか。動物たちの命を何だと思っているんだ！余りにも勝手な人間の行動に腹が立つばかりです。

　ところで今回、わたしが一番気に入ったのは「魂マッチング」です。あのゼロワンが女の子に興味を持った？！もうそれだけで興味津々。変わった奴だけど、人間としてマトモだなって思える展開でした。

　どうして、こんなにもいろんな事件が起きるのかなぁ？巻き添えにされるのは、いつも弱者。日本って優しくない国だよねって、つくづく思います。

この4篇が収められています。

・常盤台ヤングケアラー
　クラブで出会った背の高い女子は、15歳にして祖母のヤングケアラー、学校にも行けず、深夜のクラブで踊るのだけが唯一の楽しみだという。

・神様のポケット
　賽銭泥棒として捕まってしまったのはコンビニでバイトをするクマくん。彼はそんなことをする奴じゃないとマコトは確信した。

・魂マッチング
　あのゼロワンが恋をした？！

・ペットショップ無残
　あまりにも悪徳なペットショップの実情を知って、マコトは本腰を入れて調べ始める。

2728冊目（今年66冊目）