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『心寂し川』 西條奈加 90

心寂し川(うらさびしがわ)

西條奈加(さいじょう なか)

集英社

第164回(2021年)直木賞受賞作

千駄木町の外れに、申し訳なげに軒を借りている。心町(うらまち)はそんな町だ。心川(うらかわ)と名だけはしゃれたどぶ川の両岸に、貧乏長屋ばかりがひしゃげたようにうずくまっている。(本文より)

 ここいらで一番安い家賃で暮らせるから、貧乏な人達が心町に集まってきます。誰かがいなくなったとしても、同じような人がまたやって来きます。この町の差配(所有主の代わりに貸家・貸地などを管理する人)の茂十さんが、そんな人たちの愚痴を聞いたり、喧嘩の仲裁をしたりしてくれるから、みんなで肩を寄せ合って暮らしていけるんです。

 稼ぎが少なかったり、こらえ性がなかったり、しょうもない男たちが多い中、内職しながら家を守るのは働き者の女たちです。この町には父親が作った借金のために売られてきた女もいます。彼女たちは、いつかはこの町を出ていきたいと思っているけれど、その夢を叶えることはなかなかできません。

 

・心寂し川(うらさびしがわ)
・閨仏(ねやぼとけ)
・はじめましょ
・冬虫夏草(とうちゅうかそう)
・明けぬ里
・灰の男

 最後の話「灰の男」で、それまでに登場した人たちのその後や、茂十さんがどうして差配になったのかが明かされて、それぞれにいろんなものを胸に秘めて生きているのだなぁと、しみじみ感じました。

 このあたりは根津の岡場所(遊郭)のそばなので、やっちゃば(野菜市場)があったり、仕立物屋があったり、けっこう栄えていた場所なのです。初夏の頃には「躑躅の山が見事で」というのは、現在の根津神社の躑躅(つつじ)の事ですね。久し振りに見に行きたくなりました。

2752冊目(今年90冊目)

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