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『看守の信念』 城山真一 73

看守の信念

城山真一(しろやま しんいち)

宝島社

 前作「看守の流儀」が素晴らしかったのでこの本も読んだのですが、最後にまたしても「やられた~!」のです。

 火石の行動が怪しいと刑務所長、海老沢はにらんでいるのです。どうしてそんな疑いを持たれたのかが少しずつ分かっていくのですが、あの火石がそんなことをするのでしょうか?

 火石はエリートであるのに、なぜ加賀刑務所にずっといるのか?そんなところも、所長にとっては気になっているようなのですが。

 

この5篇が収められています。

第一話 しゃくぜん
 仮釈放前教育、略して「しゃくぜん」
 仮出所予定の受刑者が、ボランティア活動に参加するために外出することが許された。しかし、その活動中に彼の姿が見えなくなった。

第二話 甘シャリ
 刑務所内で食中毒が発生し、その時の調理を担当していた男が怪しい動きをしていたという証言が上がってきた。

第三話 赤犬
 火石刑務官が怪しい動きをしているので調査せよと命じられた芦立総務課長は、火石がよく立ち寄る喫茶店を見張っていた。
 赤犬とはスパイの事。

第四話 がて
 「がて」とは、刑務所内の隠語で「手紙」のこと。
 ある受刑者が、自分に手紙を送ってくれる女がいるのだと話をしてくれた。

第五話 チンコロ
 「チンコロ」とは密告のこと。
 受刑者を受け入れてくれているある会社に、彼らに対していじめをする社員がいるという投書があった。

 

 火石の運命は過酷です。でも、そんな運命だからこそ、刑務官という厳しさと優しさのバランスが難しい職業を選んだのだと火石は言うのです。そんな風に自分の人生に覚悟を持った人は強いのだと感じます。

 今回も、様々なことを考えさせられました。そして、見事に騙されました。とても楽しい読書でした。

2735冊目(今年73冊目)

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