『味わい、愉しむ きほんの日本語』 齋藤孝 101
「こんにちは」は、そもそも「今日はご機嫌いかがですか」を省略して使うようになった言葉です。p20
どうして「こんにちわ」ではなく「こんにちは」と書くのか、ずっと知らずにいました。なるほど、そういう意味があったのですね。文字を覚え始めた小学生の頃に教えてもらえれば良かったなぁ、意味を分かって使っていれば、この言葉に対する心のこもり方も違うと思うのです。
ことわざは、今日まで人々が生きてきた叡智の結晶です。
昔の人々が経験してきたなかから「誰でもこういうふうに感じるよね」ということを言い伝えてきたもので、それが長い期間を経て醸成されたのです。
今の自分の心境にしっくりくることわざが見つかると、「昔からこういうことがあったんだ」「誰にでも起こることなんだ」とわかります。そして「自分だけ弱いわけじゃない」「自分だけ運が悪いわけじゃない」と心が安らぎます。
人には、こうした共感が大切です。p74
ふとしたときに思い出すのが「情けは人の為ならず」という言葉です。誰かに親切にしたら、それが巡り巡って自分に帰ってくるという意味で使われることが多いですが、本当の意味はそれだけではないようなのです。
この言葉は新渡戸稲造(にとべいなぞう)が作った詩の一部分で、誰かに情けをかけるのは自分の満足感の為なのだから、その見返りを期待してはいけない。という意味も含まれているのです。
自分がかけた情けは忘れられてもいいけれど、誰かからもらった情けは忘れてはいけない。そこにこの言葉の真理があるような気がします。
昔の人たちの経験値が凝縮されたものが「忙中閑あり」というような言葉として残っています。忙しさに苦しめられているのは今のわたしたちだけじゃないんだ、昔の人だって忙しさに心をなくすこともあったのだと思いを馳せる「閑」の時間が大切なのです。
なぜ「いただきます」なのか、「ただいま」なのか、毎日使っている日本語だけど、その意味をよくわからずに使っているものがたくさんあります。もっと日本語を勉強しないといけませんね。
この本は 書評サイト 「本が好き!」 より献本して頂きました。どうもありがとうございました。
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