『君に光射す』 小野寺史宜 119
石村圭斗は商業ビルの警備員をしています。3年前までは小学校の教師だったのだけど、訳あって辞めたのです。離職後空白期間がない方がいいだろうと思い、すぐに雇ってくれたこの仕事に就きました。仕事は変わったけれど、同じ地区で暮らしているので、以前からの知り合いとは距離を置きたいと思い、夜勤の仕事をしています。
マッチングアプリで知り合った果子は看護師で夜勤があるから、夜勤明けに一緒に飲みに行きます。生活パターンが似た人じゃないとわかってもらいないこともあるんだよねという彼女とだと、いろんな話ができるし、気持ちが楽でいいなと思っています。
圭斗は両親が早くにいなくなったこともあって、誰かに相談するよりも自分一人で何でも解決しようと思っているんだろうな。
彼はいい人なんだよ、でも誰かに頼るということを知らずに大人になってしまったから、時々追い詰められてしまうのかもしれない。
石村くんが人にたすけられてもいいんだと思うよ
たすけるばかりじゃなくて、たすけられてもいいんだと思う
果子のこの言葉が圭斗にどんな風に響いたんだろう?今まで背負ってきた荷物がちょっとでも軽くなったらいいな。
この物語の舞台がウチの近所なので、圭斗が仕事をしているのはあのビルね、果子の勤務先はあの病院ね、遠足に行ったのはあの公園ねなんて想像しながら読むことができて、とても楽しかったです。
駅から歩いていく道の説明を読んでいたら、「銀座に住むのはまだ早い」と似た感じがしたんです。ロケハンはSUUMOも参考にしたのかなぁ?
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