『「その他の外国文学」の翻訳者』 白水社編集部編 94
文学作品を読むのが好きという人はそこそこいても、翻訳文学作品が好きという人はかなり少ないなぁと思います。ホームズやポアロが登場する推理物、赤毛のアンやハリーポッターなどは、そこそこ読まれていますけど、やっぱり中心は英語の作品ですよね。
わたしは小学生の頃に「長くつ下のピッピ」や「ムーミン」(スウェーデン)や「星の王子さま」(フランス)ドリトル先生(英国)などの翻訳物をたくさん読んでいたので、そんなに違和感を持っていないんですけど、友人に聞いてみると日本の作品しか読まない人ってかなり多いのだなと感じます。
最近、書店の棚を見て思うのは、韓国語や中国語の作品が増えてきたなぁということです。とはいっても、英語からの翻訳が圧倒的に多くて、その次にフランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語があって、それ以外の言語で書かれた本は本当に少ないなぁと思います。
元の言語を英語などに訳したものを日本語訳している作品の場合、ニュアンスが違うというか、間に入っている言語の考え方に変化してしまっていることがあって、できるだけ原語から訳したいというみなさんの熱意は凄いなと思います。その言語を訳せるのは日本で一人だけというような場合もあるのだそうです。
考えてみれば、日本語だって世界的に考えれば「その他の言語」と仕分けされてしまうような言語なのです。日本語の作品を様々な言語に訳することも大変なことなのだなと気がつきました。
それぞれの方が紹介されている本の中に、興味深いものがたくさんありました。これまで知らなかった世界を、もっともっと読んでみたいと思います。
・鴨志田聡子(ヘブライ語)
・星泉(チベット語) 「ぼくたちに翼があったころ コルチャック先生と107人の子どもたち」タミ・シェム=トヴ
・丹羽京子(ベンガル語)「タゴール」
・吉田栄人(マヤ語)「百年の孤独」ガブリエル・ガルシア・マルケス
・青木順子(ノルウェー語)「薪を焚く」ラーシェ・ミッティング
・金子奈美(バスク語)「オババコアック」ベルナルド・アチャーガ、「現代バスクを知るための50章」
・福冨渉(タイ語)
・木下眞穂(ポルトガル語)
・阿部賢一(チェコ語)「わたしは英国王に給仕した」ボフミル・フラバル
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