『私の生活改善運動』 安達茉莉子 103
茉莉子さんは食べるもの、着るもの、住むところなどのことを、無関心なまま生活してきました。そんな彼女が、友人から「最初に読む料理本」という本を手渡され、ドキッとしたのです。そして、自分を作っている食物のことや、自分を取り巻く環境のことを見つめ直さないといけないなという思いに駆られたのです。
コンビニで弁当を買う、
スーパーでパックに入った惣菜を買う、
電子レンジで温めて食べる。
忙しいから、仕方のないことかもしれない。
自分には時間がない。
本当のところは、そう思い込まされている。
社会は、人々を懸命に働かせて
時間を奪い、エサを与える。
体が壊れて、医者と薬の世話になることも含めて
すべてがうまく循環している。
この”奴隷の輪”から抜け出す方法は
料理を自分の手で作ること。
料理は”生きる術(すべ)”。それを知るだけで、あなたは自由になる。(p107「最初に読む料理本」序文より)
そう、わたしたちは見えない力に働かされているのです。忙しい、時間がないと信じ込まされているのです。奴隷のように働き、エサを食べ、病気になって死んでいく。そんな人生でいいのか?
「みんな、なんでも買って済ませすぎ」p69
「人生は短い。しょうもないもの身につけてる場合やあらへん」p149
お金を稼いで、そのお金で買い物をして、というのが当たり前になってしまった毎日。本当にそれを買わなければいけないの?自分で作れるものもあるんじゃない?誰かからもらってもいいのよね。そもそも、それがないと困るの?流行りだからって買ってるだけじゃないの?気に入らない服を着るのってイヤじゃない?
自分の家、自分の部屋にいて、幸せな気持ちになる?心からくつろげる?どうして好きでもないが沢山あるの?
外の世界でのストレスから逃れるために戻ってくる自分の空間なのに、そこが幸せな気持ちになれる場所でなかったら、ストレスは溜まるばかりなのね。それに気づけなかったのは、ちゃんと見ていなかったからなのね。自分の空間のことも、自分自身のことも。
「生活改善運動」とは、自分の幸せのためにすることなのね。そうか、そういう気持ちでいろんなものを見つめていくと、今まで気づけなかったことが見えてくる。
2765冊目(今年103冊目)
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