『タカシ 大丈夫な猫』 苅谷夏子 95
まちかどで2本足の猫を見かけた著者は、この猫の飼い主のケイコさんに会いに行き、様々な話を聞きました。そして、この子はきっと想像もできないような努力をしてきたのだろうけど、そんなことを感じさせないくらいノビノビと生きている姿に驚き、この本にまとめたのです。
HONZでこの本のことを知って、とても気になってしまったのです。子猫が交通事故で道に倒れていたところを見つけたケイコさんは、いろいろ悩んだけど、獣医さんへ行きました。診察をした獣医師からは、「足を2本切断すれば、一生這って過ごさなければならない可能性が高いです。それに命が助かるという保証もありません。」と宣告されたけれど、安楽死だけはさせたくないと思ったケイコさんは、この子猫を絶対に助けたいと思い、手術をお願いしたのです。
前足だけ、後ろ足だけという2本足で暮らしている猫はいますが、左側だけの2本足だとバランスを取るのが難しいから、立つことすら無理だろうとみんなが思っていました。ところがタカシは、何度も転びながら立つことを覚えたのです。
歩けるようになり、外に出て、走り、木に登り、どんどんできることが増えていくタカシ。他の猫のように、何でもすぐにできるわけじゃないけど、気がつけばあっと驚くようなことができるようになる、生きる力が強い子なんです。
さんざんはしゃぎまわった後、ゼイゼイ肩で息をしているのを見て、「ああ、この子は他の子より大変なのよね」って、やっと思い出すくらい。そんなタカシに心惹かれてしまいます。
2757冊目(今年95冊目)
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