『27000冊ガーデン』 大崎梢 107
星川駒子さんは、県立高校の図書館の学校司書をしています。本にまつわる様々な謎を、学校へ本を収めている書店員の針谷さんと一緒に推理を巡らせ、解決していきます。
駒子さんは、今の学校ではノビノビと仕事ができていますけど、前の赴任先では随分と酷い目に遭っていたのですね。「進学校だから勉強第一、読書を勧めないでください」なんて図書館担当教員から命令されるなんてヒドイ!その時に助けてくれたのは司書仲間だったのです。その人達がいなかったらと思うとぞっとしてしまいます。
生徒間のいじめとか、学校にクレームをつけてくるモンスターペアレントとかという話はよく聞きますが、若手教師や司書に圧力を掛けてくる管理職の教師がいるというのは、余りに酷い話です。表面化していないだけで、こういう話はあちらこちらにあるのでしょうね。
この5篇が収められています。
・放課後リーディング
・過去と今と密室と
・せいしょるせいしょられる
・クリスティにあらず
・星を見上げて
学校の図書館、懐かしいなぁ。わたしは高校までずっと図書委員だったので、暇さえあれば図書館のカウンターに座っていました。本の貸出や返却、書架の整理などの作業も楽しかったけど、本が好きな友達や先輩たちと話をするのがとても楽しかったのです。
学校は勉強する場所というだけでなく、友達と話をしたり、部活をしたり、自分の時間を楽しんだり、将来への夢を見つける場所でもあるのです。でも、それだけではないのが現実です。家庭に問題があって学校だけがホッとできる場所だという子もいます。
何らかのプレッシャーがあって教室へ入れないので、図書館や保健室へ登校している子もいます。避難場所としての役目も図書館が担っているというのは、もっと多くの人に知ってほしい事実です。
この本の中に登場した「本好きの生徒を守るのと、増やすのが学校司書の役目」という言葉がとても印象に残りました。
図書館で出会った1冊の本が、その人の人生を変えるかもしれないのですから。
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