『最初に読む料理本』 古谷暢康 121
コンビニで弁当を買う、
スーパーでパックに入った惣菜を買う、
電子レンジで温めて食べる。
忙しいから、仕方のないことかもしれない。
自分には時間がない。
本当のところは、そう思い込まされている。
社会は、人々を懸命に働かせて
時間を奪い、エサを与える。
体が壊れて、医者と薬の世話になることも含めて
すべてがうまく循環している。
この”奴隷の輪”から抜け出す方法は
料理を自分の手で作ること。
料理は”生きる術(すべ)”。それを知るだけで、あなたは自由になる。
「私の生活改善運動」という本の中にこの本の序文が書かれていて、それを読んだときにドキッとしたのです。
わたしたちは料理というモノを無駄に進化させてしまったんじゃないだろうか?ということが、頭の中でグルグル回り始めたのです。
世の中ではグルメが話題になることがとても多いのです。あそこの料理がおいしいとか、行列しないと食べられないとか、限定とか、お取り寄せとか。そこまでしないとおいしいものって食べられないのかしら?
日本の農産物には、厳しい「規格」がある。
その規格とは、味ではなく、見た目だ。
たとえばお米は白くなくちゃいけない、虫に食われたところが黒くなっていたって味に関わるわけじゃない。でも見た目が悪いから2級品になってしまう。1000粒に2粒の黒いものが混じらないように農薬を使う。もちろん農薬は身体に悪けど、白いお米は1級になる。
キュウリは曲がってちゃいけない。だから矯正ギブスみたいな筒を嵌めて育てていたり、スーパーに納めるには長さがどれくらいという基準があって、それに合わせて収穫していたり、見た目に手間とお金をかけているんです。
キュウリは夏だとか、大根は冬だとか、本当は季節に合わせて食べればいいのに、一年中同じものを食べようとするから、遠くから運んできたり、ハウス栽培したりしなければいけなくなります。運送やハウスの温度管理のためにたくさんのエネルギーを使っているってことを、みんな忘れてしまっているんじゃない?
本気で無駄をなくそう、減らそうとするなら、そこから考え直さなければならないのに。
本書を出すために、「時雨出版」を立ち上げました。(あとがき より)
おいしい食事を作るのに、難しい技なんかいらないんだよ。シンプルに茹でたり、焼いたりして、塩をちょっと振るだけでおいしいものがたくさんあるんだってことを知るところから、料理は始まるんだよって、教えてくれるこの本を、みんなに読んでもらいたいです。
一般の書店販売のルートで本を売ろうとすると、無駄になってしまう本がたくさん生まれてしまうのです。そんなことをしたくないので、この本は時雨出版のオンラインショップと一部の食品・雑貨店・飲食店・宿泊施設・書店などで販売しています。
わたしは神保町にある「田舎の本屋さん」で購入しました。
農業関係の本がたくさんあって、面白い本屋さんでした。
2783冊目(今年121冊目)
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