『私たちの金曜日』 有川ひろ、恩田陸、桐野夏生、田辺聖子、津村記久子 104
私たちの金曜日
有川ひろ(ありかわ ひろ)
恩田陸(おんだ りく)
桐野夏生(きりの なつお)
田辺聖子(たなべ せいこ)
津村記久子(つむら きくこ)
山本文緒(やまもと ふみお)
綿矢りさ(わたや りさ)
三宅香帆(みやけ かほ)編
角川文庫
働く女性の待遇は、確かに昔よりは良くなってきているとはいえ、まだまだだなぁって思うことが多いですね。女性の働き方を男性に合わせようとする余り、無理難題が発生しているのですが、会社組織を作っているのは男性中心なので、そういうことに対する理解ができていないのです。
学校を卒業後、正社員として就職できても、結婚して子供が生まれたら周りからの圧力で会社を辞めるのは女性側ということが多いし、仕事を続けたとしても、子どもの具合が悪くなったとか、両親の介護とか、女性側に負担がかかってくることが多いのは間違いありません。再就職しようとしても非正規の仕事しか選択のしようがないというのが、日本の現実なんですよね。
そんな中で「ファイターパイロットの君」の夫は、自分の妻を尊敬し愛しているからこそ、妻が単身赴任するという選択をしています。夫婦間では納得していることを、彼の両親は納得していないという描写が、実に上手いなと思います。
「美女山盛」は昭和のお話だけど、こういう話って今でもあるよねって思ってしまうのは、ここ50年くらい、日本の会社制度がずっと変わってこなかった証なのかしら。
「おかきの袋のしごと」は既に読んでいたのですが、やっぱり津村さんの世界に引き込まれてしまいますねぇ。
「神様男」のあるある感、「こたつのUFO」の不思議感、「茶色の小壜」のゾクゾク感、「社畜」の「あるある感」。どの作品も個性的で面白かったです。
・社畜(ファースト・プライオリティー) 山本文緒
・美女山盛(日毎の美女) 田辺聖子
・こたつのUFO(意識のリボン) 綿矢りさ
・茶色の小壜(図書室の海) 恩田陸
・神様男(奴隷小説) 桐野夏生
・おかきの袋のしごと(この世にたやすい仕事はない) 津村記久子
・ファイターパイロットの君(クジラの彼) 有川ひろ
2766冊目(今年104冊目)
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