『長距離漫画家の孤独』 エイドリアン・トミネ 141
長距離漫画家の孤独
The Lineliness of the Long-distance Cartoonist
エイドリアン・トミネ
Adrian Tomine
長澤あかね(ながさわ あかね)訳
国書刊行会
アイズナー賞最優秀自伝賞
アイズナー賞最優秀装幀賞
図書館で偶然に見つけたこの本、国書刊行会の本であるということが気になって読んでみました。
著者のエイドリアン・トミネは日系アメリカ人4世で、グラフィック・ノベル (Graphic novel)と呼ばれる大人向けの漫画家です。子どもの頃から漫画が大好きで、絵ばかり描いていました。たぶん彼は「繊細さん」なのでしょう。初めて会う人と話をすることが極端に苦手です。
自分が好きなことはいくらでも話せるけど、相手がそれをどう感じているかなんてことにはまるで気がつかない、要するに空気が全く読めない人です。だからデートしても上手く行かないし、漫画がある程度売れて来てからサイン会に来てくれたファンと意思疎通が上手くできなかったり、なかなか大変な毎日を過ごしています。
そんな彼の揺れ動く気持ちを描いたこの作品、そうかぁ、彼にはこういう悩みがあるんだなぁとか、必要以上に神経過敏、自意識過剰なんだなぁっていうことに気づかされます。
アメリカン・コミックとは一線を画すこういうタイプの作品を書く人がいるということは、大きな発見でした。他の作品も探してみようと思います。
この本の装丁がモレスキンのようなデザインで、各ページには水色の格子が入っていて、凝ったつくりだなぁって感心してしまいました。
2803冊目(今年141冊目)
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