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『ある一生』 ローベルト・ゼーターラー 128

ある一生
Ein Ganzes Leben

ローベルト・ゼーターラー
Robert Seethaler

浅井晶子(あさい しょうこ) 訳

新潮クレスト・ブックス

オーストリア

 アンドレアス・エッガーは幼いころに親を亡くし、アルプスの農場主の所で過酷な仕事をしながら大きくなった。仕事が厳しいことも、身寄りがないことも、片足が曲がっていることも、彼はなんとも思っていなかった。屈強な身体を持った青年となった彼は、ロープウェイを建築する仕事に就いた。危険な仕事だったけど、とにかく働けることが楽しかった。

 人生でただ一度だけつらかったのは、雪崩で家と妻を失ったこと。この時だけは生きているのがつらかった。

 第二次世界大戦が始まり、いつ死んでもいいと思っていた彼は兵隊に志願したのに、足を理由に断られた。なのに4年後に召集され、ソ連へ戦争へ行った。戦争が終わってもなかなか帰れなかった。兵隊として戦っていた時間より抑留されていた時間の方が長かったが、なんとか故郷の村に戻ってきた。

 

 エッガーの人生は、他人から見たら苦労の多い人生だったのだけど、意外と本人は「そんなもんだ」と思っていたんじゃないかな。働くことが好きだし、自分が暮らしている土地が好きだし、自分の家はあるし、贅沢しようとも思っていないし。

 彼は自分の人生に不満を持とうとなんて思っていなかったんだろうな。人付き合いなんて面倒だからしないし、自分が自由であることを一番に考えて生きていたから、それで幸せだったのだろう。

 こんな人生も悪くない、いやいや、こんな79年の生涯はなかなかのものだよって思う。

2790冊目(今年128冊目)

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