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『40 翼ふたたび』 石田衣良 148

40 翼ふたたび

石田衣良(いしだ いら)

講談社文庫

 若いころに想像していた40歳って、人生の折り返し点だし、もっと落ち着いている感じだったのに、自分がこの歳になって初めて気がついたのは、頭の中は20代のころと大して変わっていないのに、体力は落ち、思ったような仕事をしているわけでもない、パッとしない自分。

 主人公の喜一は、大手の会社を辞め、先輩の誘いに乗って転職してからずっと、パッとしない生活をしています。妻との仲も冷え切っていて、自分は何のために働いているのかと悩むけど、とにかくお金になる仕事を見つけないとマズイなぁということばかり考える毎日です。

 広告の仕事をしている彼の所に来る依頼は、「それって、広告じゃないでしょ」という仕事ばかり。でも、日当2万円を支払ってくれるなら仕方ないかと思いながら、依頼された仕事をこなしていきます。

 仕事を依頼してくる側も40歳、今までの人生は上手く行っていたのに、突然おかしくなってしまった人。実家の自分の部屋に引きこもったまま40歳になってしまった息子を憂う両親。雇ってもらえる会社がないなら起業しようという40歳もいます。それぞれの人生に触れて、自分の人生も何とかしなくちゃなと思い、自分の夢は何だったのかと自問自答する喜一さんです。

 

 この7篇が収められています。

・真夜中のセーラー服
・もどれないふたり
・翼ふたたび
・ふたつの恋が終わるとき
・われら、地球防衛軍
・はい、それまでよ
・日比谷オールスターズ

 

 喜一さんは会社勤めが長かったせいか、無意識に仕事を選ぼうとしてしまう所があって、そこが現実の人間っぽい気がします。

 「翼ふたたび」のひきこもりの英史さんと語り合ったあたりから、喜一さんはちょっと変わってきたような気がします。それが「われら、地球防衛軍」につながっていくあたりが好きだなぁ。

 40歳って、年寄りでもないし若くもない、だからこそ悩むことがたくさんあるんです。ここで諦めるのか、もう一回頑張ってみるのか、そこが人生の分かれ道なのでしょうね。

 喜一さんは月島のマンションに住んでいるんですけど、この町には「4TEEN」「6TEEN」の4人も住んでるだよなぁって思い出しました。

2810冊目(今年148冊目)

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