『プロレス深夜特急』 TAJIRI 124
プロレスラーは、プロレスがなければ死んでしまう生き物である
そして、旅をしないと死んでしまう生き物である
TAJIRI はそんなに身体が大きいわけでもなく、特別に身体能力が高いわけでもない、けれども強力なオーラが出ている、曲者と呼ぶのにふさわしい個性を持っている。その個性を買われてアメリカのメジャー団体「WWE」に所属していたこともある。
彼は試合のオファーがあると、世界中のどこへでも出かける。プロレスがまだ市民権を得ていないような土地へ行くこともある。そこで出会った人から「TAJIRIだよね」と声を掛けられることが度々あり、テレビの力は凄いと感じることが多いと言っている。
そう、WWEの試合は世界中のテレビで放送されていた。この本が出版される10年以上も前の事なのに、そこで活躍していた彼のことを大勢の人が覚えている。これは凄いことなのだ!
テレビでプロレスを見て、憧れ、プロレスラーを目指す青年が世界中に大勢いる。彼らにプロレスのトレーニング方法を教える時のTAJIRIは、とても真面目な人だ。プロレスの基本動作をきちんと教えている。下を向くな前を見ろ、投げられたら相手から離れるように転がれ、派手な技よりも、自分らしい技を磨け!
マルタ共和国でプロレス興行があるなんて、今まで想像したこともなかった。マルタで初めてプロレスの試合を行った日本人はウルティモ・ドラゴンだという話にビックリする。そうか、ここでもウルティモは伝説になっているのか!
当時、全日本プロレスの社長だった秋山準、ドラゴンゲートのウルティモ・ドラゴンと話をする時、TAJIRIは謙虚な気持ちでいる。かつて憧れた人と同席することができるようになるなんてウソのようだと心の奥底で感じている。でも偉大な先輩である2人はTAJIRIのことを、きちんとリスペクトしてくれる。プロレスを愛し、世界に広めてくれる人だと認めてくれているからなのでしょう。
10年ほど前、今は無きサンストリート亀戸でプロレスリングノアのイベントがあって、そこでTAJIRIを至近距離で見たことがあります。背はさほど高くないけれどガッチリしていて、怪しい雰囲気を醸し出していたのが印象的でした。「どんな時でも人に見られているということを意識しろ」と若い選手たちに言い続けているという、彼のプロ意識がそういう雰囲気を作っていたのでしょう。
世界中のプロレスラーとのつながりがあり、面白いと思った場所へは損得抜きで行き、これぞと思った選手は日本に呼んできたり、TAJIRIが日本の、そして世界のプロレス界に与えてきた影響は大きいなぁと思うのです。
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