『天国からの宅配便 あの人からの贈り物』 柊サナカ 131
天国宅配便の七星さんが届けてくれるものを喜んで受け取ってくれる人がいる一方、そんなもの受け取りたくないという人がいたり、代理の方には渡さないというお約束になっているのに、受取るはずの方がもう亡くなっている場合もあります。
そんな行き場所がない遺品を天国宅配便でどう扱っているのかが描かれたエピローグを読んで、ホッとする気持ちになりました。でも、狭い事務所ですから、いつか一杯になってしまうのでは?という心配もあるのですけど。
第1話 父とカメラと転売人
転売ヤーの男のもとに、古いカメラが届けられてきました。かなりの値段が付きそうなカメラが自分のものになるのだと喜びつつも、このカメラをくれた男性の息子のことが気になって、彼の消息を調べてみると。
第2話 七十八年目の手紙
入院している曾祖母に手紙が届いたのだけれど、何と書いてあるのか読めないのです。それを知りたくていろんな国の人に聞いてみるのですが、誰も読めなくて、でも、みんな「お大事にね」と言ってくれるのです。
第3話 最後の月夜を君と
庭師の娘の岩子と、大きな植物園を持っているお屋敷の息子の広之は、植物を通して仲良くなりました。広之は、大きくなったら岩子ちゃんと結婚したいというけれど、そんなことありえないと岩子はわかっていました。
第4話 わたしの七人の魔女
亜美のもとに、子どもの頃に知り合った近所のおばあさんからの遺品が届きました。でも、そんなもの絶対に受取りたくないんだと言張ります。七星さんは、困った挙句、亜美が子どもの頃に住んでいた町へ一緒に行きましょうと提案します。
エピローグ
いろんな人生があります。親子なのに分かり合えないことがあったり、他人なのに助け合っていたり、ずっと会えずにいても心の隅で思い続けていたり。自分の人生の最後に思い出す人へ手紙を書いたり、遺品を残したりしたいという思いを持つ人は、きっと大勢いると思います。
第2話の「第二次世界大戦時の日本人収容所」のことや、第4話の「育児放棄」のように、どの時代にもつらいことがいろいろとあります。でも、人は生きて行くのです。
自分のことを忘れずにいてくれた人がいるという幸せを届けてくれる「天国宅配便」が本当にあったらいいな。
2793冊目(今年131冊目)
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