『あきらめない』 村木厚子 167
霞ヶ関を上り詰めた「働く女性の希望の星」が突如、公文書偽造指示の容疑で逮捕。
164日間の勾留のあと、無罪を獲得。 極限状態の中、彼女が決して屈しなかった理由とは?(書籍紹介より)
厚生労働省の雇用均等・児童家庭局の局長だった村木さんは、育休法改正法案が国会で成立するというというタイミング(2009年6月)で、突然逮捕されてしまいました。全く身に覚えがないことをしたと言われ、検察の取り調べを受けます。
頑張って詳しく話しても思い通りの調書にはなりません。検事が書きたいこと、検察側のストーリーに都合のいい事しかかかれないわけですから。そこからどれだけ訂正してもらえるかの交渉が始まります。P151
検察側は前もってストーリーを作ってきています。それに合わせて質問をし、聞き取ったことを調書として書くのですが、村木さんが言ってもいないことを書かれてしまったり、意味の取違があったり、黙っていたらドンドン犯人にされてしまうのです。こうやって冤罪は作られていくのだということをヒシヒシと感じ、おかしいと思った調書には一切サインをしなかったそうです。
検察側は、この人はクロだと思って話を聞いているからクロを証明する文書を書きたくなります。ちょっとした言葉尻を取ってそれを膨らませたり、聞いてもいないことを書いたりするのです。いくら反論できるといっても、たった一人で検察官と戦うのは勇気が入ります。そして、論破する力、文章を読む力もなければ、調書のウソを追求することもできません。
拘留されていた間に、村木さんは149冊の本を読んでいます。本を読むことが孤独な時間を支えてくれたのかもしれません。
こんな厳しい状況の中でも「あきらめない」という気持ちを持ち続けられたのは、家族や友人、そして村木さんの潔白を信じてくれた人たちの応援のおかげだと彼女は感謝の言葉を述べています。
法律を守るために存在しているはずの検察が犯罪行為をしていたという結末になってしまったこの「障害者郵便制度悪用事件」思わぬ形で歴史に残ってしまったのです。
2829冊目(今年167冊目)
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