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『からだの美』 小川洋子 166

からだの美

小川洋子(おがわ ようこ)

文藝春秋

 普段なにげなく見ている身体なのに、ふとしたきっかけで目が留まり、目が離せなくなるという時があります。ベビーバギーの枠をしっかりとつかむ赤ちゃんの手を見て、可愛いと思うと同時に、その力強さや生命力にびっくりしたりするのです。

 

 小川さんが着目したのは、「バレリーナの爪先」「レース編みをする人の指先」「卓球選手の視線」など、なるほど、こういうところに着目するのだなということが、いくつも登場します。

 

 「外野手の肩」はイチローの話です。外野に打球が飛び、その球を捕球し内野へ投げるというプレーは、それまでは地味なものでした。でもイチローが登場するようになって、期待感が全く変わったのです。どうやって捕球するのだろう、どこへ送球するのだろう、という興味が常にあったのです。そして相手側の選手もイチローを意識するだけで、走塁の足が鈍ったのです。守備でワクワク感を生み出すという、とても画期的なことをイチローは見せてくれたのです。

 

 そして「力士のふくらはぎ」は初代貴乃花のお話。小学生だった小川さんは「北の富士」対「貴乃花」のあの取組(昭和47年初場所)が脳裏に焼き付いているのです。そして、貴乃花のふくらはぎを褒めたたえているのです。

 わたしは、この貴乃花の長男、三代目若乃花の足首が大好きで、取り組みよりも「足ばっかり見ていた」ことを思い出しました。

 

 直接見えるわけではないのに、その動きに魅了されてしまう「文楽人形遣いの腕」というのも魅力的ですね。こういう感性が小川さんの作品の根底にあるのではと想像してしまいました。

2828冊目(今年166冊目)

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