『失はれる物語』 乙一 181
まだ梅雨なのに暑い日が続いているので、ちょっと涼しくなりたくて、カドブン夏推し2023のリストにあった乙一の本を手に取った。10年位乙一の本を読んでいなかったけど、久し振りに読んでみたら、やっぱりすごいなぁ。ただ怖いんじゃなくて、自分が登場人物になったような気がしてドキドキしてしまう。あの主人公がもし自分だったら、そっちへ行かないよなぁと思ったり、やっぱり行っちゃうかなと思ったり。とにかく物語に入り込めてしまう感じが嬉しい。
どの物語の主人公も孤独なタイプなんだけど、それは本人の資質だけではなくて、周りからの圧力に耐えられなくなったからという意味が大きいような気がする。家族も学校も、やたらと協調性を求めてくるから、そこから逃れたいという気持ちは、本当は自然なことなのに、なかなかわかってもらえないのは、実はみんな無理してるから、「お前だけ逃げるな」という気持ちの表れなのかもしれない。
この8編が収められています。
・Calling You
・失はれる物語
・傷
・手を握る泥棒の物語
・しあわせは子猫のかたち
・ボクの賢いパンツくん
・マリアの指
・あとがきにかえて ウソカノ
乙一を読むと、エアコンより涼しくなりそうだから、他の本も読んでみようかな。
2843冊目(今年181冊目)
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