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『サマークエスト』 北山千尋 177

サマークエスト

北山千尋(きたやま ちひろ)

フレーベル館文学の森

2019年 第2回フレーベル館ものがたり新人賞優秀賞受賞作

 小学校6年生のヒロキの父は10年前、ヒロキが2歳の時に海でおぼれて亡くなってしまいました。母も、両親の友達も父のことを話題にすることはほとんどありません。だから、ヒロキは父がどんな人だったのかをイメージすることができないんです。

 ヒロキと仲良しのアラタは、中学受験をするらしくて、毎日塾通いをしています。でも、中学受験に熱心なのはアラタ本人ではなく母で、父はそんな話に加わってもいないらしいのです。

 ヒロキは両親の友達の家の倉庫で、使いかけの「写ルンです」を見つけて、どうも気になってしょうがなくて、アラタに頼んで現像してもらったら、たぶん父が死んだ日に撮ったであろう写真だったのです。

 ヒロキはその写真を見て、母には内緒で父が死んだという海を見てみたいと思いました。その話をアラタにしたら、アラタも母には内緒で行きたいところがあるというんです。そこで2人は作戦を練ります。

 

 大人はね、子どものことを子ども扱いしたがるんだよね。あれしちゃいけない、これしちゃいけないっていうけれど、そんなこと言う大人だって間違ったことしてるじゃないかって、子どもに見透かされてるのよね。子どもが言うことを聞かないって一方的にいうけど、それってホントかな?言うことを聞きたくないように仕向けてるのは大人の方じゃない?

 ヒロキは母とふたり暮らしだから、家の手伝いをけっこうしてるし、アラタだって本当は近所の友達と遊びたいのに遠くの塾通い。一生懸命に親の言うことを聞いている子どもの気持ちを親はわかってるのかなぁ?

 6年生ってまだ子どもだけど、少しずついろんなことがわかってきて、親の言うことを聞いているフリをしながらも、本当は自分はこうしたいんだっていう思いが、少しずつ膨らんでくる年頃なのよね。

 来年は中学生になる2人、ずっと仲良く生きて行けるのかな?大人になってから、この年の夏のことを思い出すのかなぁ?

2839冊目(今年177冊目)

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