『サエズリ図書館のワルツさん 1』 紅玉いづき 154
先日読んだばかりの「サエズリ図書館のワルツさん1」ですが、書籍未収録短編を含めての文庫化ということで、さっそく読んでみました。
第一話「サエズリ図書館のカミオさん」
第二話「サエズリ図書館のコトウさん」
第三話「サエズリ図書館のモリヤさん」
第四話「サエズリ図書館のワルツさん」
番外編「ナイト・ライブラリ・ナイト 真夜中の図書館のこどもたち」
この番外編「ナイト・ライブラリ・ナイト」(2014年1月 毎日新聞連載)は、実に様々なことを示唆しています。
書籍を含むすべての情報が小型端末で持ち歩くことができるようになった未来の子ともたちが、図書館でのお泊り体験をします。この夜だけは、いつも身につけている小型端末は腕から外して、本を自由に読みなさいと言われて、子どもたちは驚きます。何でも瞬時に手元で検索したり、友達と連絡したりすることができる生活が当たり前の彼らにとって、自分で本を探すとか、誰かと話をしたい時は直接会って話すということは、初めての体験なのです。
現在の日本でだって、スマホを取り上げられたらどうしようという人がかなりいます。なるべく対面での会話はしたくないとか、知らない人からの電話に出たことがないので、会社で電話に出られなくて困っているとか、ということが話題になっていますが、2014年に書かれたこの作品ですでに、そういう近未来の人の考え方を危惧しています。
検索だけでは得られないこと、誰かから教えてもらうこと、偶然に出会うこと、人との触れあい、そういうものの中から見つけ出す「何か」こそが「自分らしいこと」だという著者の指摘にドキドキしてしまいました。
2816冊目(今年154冊目)
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