『名著の話 芭蕉も僕も盛っている』 伊集院光 168
「名著の話 僕とカフカのひきこもり」と同じように、名著を読まない状態で「100分で名著」の番組内で説明を受け、それを踏まえて作品を読んだ伊集院さんと説明をしてくださった方との対談です。説明を聞いてわかったつもりになっていても、実際に読んでみると腑に落ち方が違うという伊集院さんの気づきがあちらこちらにあって、わたしも紹介されていた本を読みたいなぁという気持ちになってきました。
・松尾芭蕉『おくのほそ道』 長谷川櫂(俳人)× 伊集院光
「おくのほそ道」は、芭蕉が旅をしながら俳句を読んでいき、それをまとめたものという、いわばドキュメンタリー的に思われがちな本ですが、実はフィクションも含まれているし、句と句のバランスを考えたり、普通ならテーマにするだろう松島に関する句がなかったり、かなり編集に時間をかけたものだということに驚きました。
・ダニエル・デフォー『ペストの記憶』 武田将明(英文学者)× 伊集院光
ペストは黒死病」と呼ばれた恐るべき感染病です。1665年にロンドンで大流行し、ロンドン市民の四分の一が死んだといわれるほどの猛威を振るいました。ペストが流行った当時、デフォーは子どもでしたし、家族はロンドンからいち早く離れたので、実際に見聞きしたことは少ないのですが、体験した人たちから当時の様子を聞き取り、そのノンフィクションに、フィクションを組み合わせたこの作品を書きました。
・コッローディ『ピノッキオの冒険』 和田忠彦(イタリア文学者)× 伊集院光
ピノキオというと、ディズニーの映画以降、健全な物語として知られていますけど、原作はそうじゃない。そもそも、ピノキオは最初から人間になりたいと思っていたわけじゃないというところにビックリです。ピノキオを作ったおじいさんだって、あんなにいい人じゃないし、学校や上流の暮らしをしている人からは、余り好まれる話じゃなかったんだそうです。
新型コロナの流行のせいで、ペストやスペイン風邪に関する本がかなり読まれるようになりました。わたしも『四千万人を殺したインフルエンザ』というスペイン風邪のウィルスに関する本を読んだりしましたけど、『ペストの記憶』も面白そうですね。
『ピノッキオの冒険』は、イタリアがファシズムの時代だった頃に国威発揚の意味もあって子どもが読むことを推奨したのだそうです。ところがこの本によって勇気を持った子どもたちが大きくなり、ファシズムを倒したというのが面白いなぁ。国の思惑があらぬ方向へ進むきっかけになるなんて、この本も読まなくっちゃね。
そして『おくのほそ道』は時間をかけて読むべきなのかしら、一句読んではしばし想像力を膨らませる、立ち止まってみるということが大事なような気がしてきました。
2830冊目(今年168冊目)
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