『一瞬で信じ込ませる話術 コールドリーディング』(再読) 石井裕之 209
最近、詐欺に関するニュースをよく目にします。オレオレ詐欺、振り込め詐欺、ロマンス詐欺、どれもこれも「どうしてそんな手に乗っちゃうんだろうね?」というものばかりです。こういう手口に騙されないように、あちらこちらで注意しているのに、騙される人は相変わらずいるのです。それはなぜなのでしょうか?
「本当であってほしい」という心理
「可愛い孫が困っているから助けなければ」とか「わたしにも王子様が現れた」なんて考えてしまうのは、心のどこかで「それが本当であってほしい」と思うからです。冷静に考えたり、誰かに相談したら「そんなわけないでしょ!」で終わるのだけど、自分は頼られているとか、モテているとか、ラッキーだと思いたいという心理が働くのでしょうね。逆に言えば、自分が今そうではないからこそ、信じたくなるのかもしれません。
ほとんどの人に効くストックスピールのフレーズ例
・最近、以前よりは食べる量が減ったのに、少し太りやすくなってきましたね。
・あなたは、どんなに頑張っても本当の悪人にはなれない人です。
・あなたは、自分に対して厳しすぎるところがある。
・今、あなたは経済的な問題を抱えていますが、決して対処できないほど大きなものではありません。
こういうフレーズを言われると、「あっ、わたしのことだ」と思ってしまうのです。でも、そう思うのはあなただけではないのです。実は大勢の人にあてはまることです。でも、そういうことを知らない人は、こういう言葉に騙されるのです。こんな風に言ってくれるなら、わたしの性格を理解してくれる人だとか、優しい人だと思ってしまうのです。でも、それは自分が勝手にそう思っただけで、目の前の人が素晴らしい人だとは限らないのです。
世の中にはいろんな人がいます。それぞれに違っています。でも、人の考えというのは意外と同じなのです。時代を超えて、年齢差も超えて、かなり同じようなことを考えているのです。だからこそ、こういう言葉には要注意なのです。
ストックスピールとは、誰にでも当てはまることを、相手の事実をあたかも言い当てたように提示するテクニックです。こういうことを対人関係で上手く使おうとする分には問題ないのですけれど、悪用しようとする人だっているのです。
昔よりも対人関係が希薄になってきた現代だからこそ、こういうことをわかっていないといけないなと感じます。
お金が儲かるという話をしているのに、その人の靴が汚いのを見て「あっ、ダメだ」と気づいたという話が、この本の中に出てきましたけど、そういう感覚ってとても大事です。銀行から来たと言っている人なのにネクタイが曲がっているとか、しゃべり方がおかしいとか、なんだか変だなと思ったら、そこで一旦ストップする勇気が大事です。
自分の身は自分で守ろうという意識があれば、未然に防げることはたくさんあるはずですから。
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