『教えて! 池上彰さん どうして戦争はなくならないの? 地政学で見る世界(1)アメリカ・ロシア』 池上彰 監修 185
ウクライナは、ロシアの南西に接する国で、面積は日本の約1.6倍です。ウクライナは、他のヨーロッパの国々と接しており、南には黒海が広がります。
ヨーロッパの国々とロシアの間にあるウクライナは、ロシアにとっては緩衝地帯として重要な位置です。でも、そのウクライナがNATOに加盟したいと言い出したのでロシアは焦ったのでしょう。本来なら話し合いを持つべきだったのに、なぜか軍事侵攻という手に出てしまったのです。すると、やっぱりロシアは脅威であるというウクライナの主張は信憑性を持ってしまい、ますますNATO寄りになってしまったのです。
これはまるで、北風と太陽の話のようだと思います。太陽のように暖かい関係を築くべきだったのに、北風のように厳しい方法である軍事侵攻をしてしまったのです。
ソ連だった頃、ウクライナもソ連の一部でした。そこから独立したウクライナという国を、ロシアはどうして同胞として考えられなかったのでしょうか。それがわたしにとって最大の疑問です。
戦争のルールの中に「攻撃してよいのは戦闘員と、軍事施設だけ」というのがありますが、歴史的にそれが守られたことなどありません。せめてオリンピックの期間中だけでも戦闘を休止させようというルールも無視し、ロシアは戦争を続けています。
いつ終わるとも知れぬこの戦争、ただ一つ確かなことは、戦後のロシアの国際的立場はとても悪くなる。だからロシアから逃げ出す人が増えるということなのですが、プーチンさんはそこをどう考えているのでしょうね。
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