『小説 すずめの戸締まり』 新海誠 190
鈴芽(すずめ)は「扉を探しているんだ」という草太という青年と出会います。彼を追って山の中の廃墟へ行くと、古ぼけた白い扉があったのです。
地震が起きた時、鈴芽には黒くて大きな怪獣のようなものが見えたのですが、他の人には見えていないようなのです。後でわかったのだけど、それが見えるのは草太と鈴芽だけです。
地震を発生させる怪獣を扉の中に閉じ込めなければならないという草太の話を聞いて、鈴芽も手伝わなければならないという使命を感じ、一緒に行動することになったのです。
悪いものを押さえるためにお札を貼るとか、結界を結ぶとか、様々なことを人間はしてきました。菅原道真や平将門のように、御神体として神社に祀られていることもあります。
怪獣「ミミズ」を扉の中に閉じ込めることで地震の発生を阻止しようとするこの物語は、とても日本的な天変地異との付き合い方から生まれているように思います。
この物語を読みながら、東日本大震災のことを思い出しました。あんなに大変なことが起きたのに、12年経った今、もう記憶が薄れてきているような今だからこそ、この物語を読んだり、映画を見たりすることはとても重要なのだと思います。
そして、鈴芽が行く先々で親切にしてくれる人がいたのは、偶然ではなかったのだと思ったりもするのです。
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