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『進化が同性愛を用意した ジェンダーの生物学』 坂口菊恵 189

進化が同性愛を用意した

ジェンダーの生物学

坂口菊恵(さかぐち きくえ)

創元社

NetGalleyJP

いまだに「普通ではない」という目を向けられがちな同性愛だが、実は、地球上の生物の間では、同性愛はまったく珍しくない。
実に1,500種を超える動物で、同性間の性行動が観察されているからだ。(書籍紹介より)

 

性をはっきりとオス、メスにわけることができない個体が1~2%の割合で生まれてくることは、ヒツジやウシを育てる畜産家には良く知られていた。P125

一般に、異性との接触が絶たれた状況下では同性間性行動の頻度は高まる傾向があり、軍事的紐帯、もしくは宗教的な意味づけのもとで、同性愛文化は様式化されやすい。P142

ギフテッドクラスの学生たちを調べると、興味の方向性や性役割感は中性的な傾向があること、および性的マイノリティの出現率が高いことが報告されている。P185

 数学者のアラン・チューリング、特筆すべき記憶力で知られる ダニエル・タメット、台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン、小説家の三島由紀夫、粘菌の研究で知られる南方熊楠。デザイナーの高田健三、イブ・サンローラン、ジャン・ポール・ゴルチエなど、彼らはギフテッドであり、性的マイノリティであることが知られています。

 彼らが、すばらしい才能を持ち、それを世間に発表してきたことによって、社会は新しい技術を得ることができたり、面白い小説を読んだり、美しいファッションを楽しんだりすることができてきました。その才能と性的マイノリティに関連性があるというのは実に興味深いことだと思うのです。

 

世界は「定型発達者」が再現性を持って追認できる現象を超えて広がっている。それは、自閉スペクトラム症や総合失調症、共感覚といった近くの特性がある人の放言する数式や、フラクタル図形や芸術作品の中に、垣間見ることができるのかもしれない。そういったものは、「常識的」な社会の秩序を脅かすかもしれない。しかい、そうした豊かな世界の広がりをも記述し、活用していく途もまた、拓かれている。わたしたちは多様であり、多様性が溢れる星に生きているのだから。P205

 生物の世界ではオスとメスだけではないのです。成長するにしたがって性が変わるものもいれば、どちらかと判別できないものもいます。人間だって生物なのだから、人間だけ特別なわけではないのです。

 性的マイノリティを恐れる人達というのは、いったい何を恐れているのでしょう?自分には理解できないことだから?自分の身近で見たことがないものだから?宗教的な問題?

 そもそも生物学的に同性愛というのは特別なことではないし、同性で子どもを育てるということもあるという事例を読んでいくと、「同性婚=少子化が進む」という理屈が間違っていることがよくわかります。

 

 多様性には「寛容」と「受容」の両面があるのです。あなたが誰かを受け入れるのと同じように、誰かにあなたが受け入れてもらう場合もあります。そう考えるのは、そんなに難しいことなのでしょうか?

#進化が同性愛を用意した #NetGalleyJP 

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