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『真珠夫人』 菊池寛 213

真珠夫人

菊池寛(きくち かん)

文春文庫

 先日読んだ「文豪、社長になる」が面白かったので、菊池寛の出世作であるこの本を読んでみようと思いました。その感想は、ひとことで言って、とにかく面白かった!

 

 この小説は、1920年(大正9年)6月9日から12月22日まで『大阪毎日新聞』『東京日日新聞』に同時連載され大人気を博した作品です。当時、まだ連載中にも関わらず、大阪浪速座で舞台化され、図らずもメディアミックスとなった「真珠夫人」は大人気作品となったのです。

 真珠夫人のサロンで「通俗小説」と「純文学」の差について語られる部分がありましたけど、あれは「通俗小説」だと思ってバカにするなよ!という菊池寛の気持ちを表していたのでしょうか。この作品は、真に面白い作品は後世に残るという代表であると思います。

 家の借金と名誉のために、成金の中年男の下へ嫁いだ美しい女性瑠璃子。前半は彼女の復讐劇、そして後半は、これもまた男性社会へ対する復習劇だったのでしょうか。

 

 それにしても、大正時代にこういうテーマで書いた菊池寛は、とんでもない小説家だったのですね。「人はどういうことに興味を持つのか」ということをよくわかっていたからこその、この作品なのだと思います。

 100年も前の作品なのに、人間の本質って変わらないんだなと思わされるところが多いし、ストーリー展開が早く、500ページを超える大作なのに、あっという間に読み終わってしまいました。

2875冊目(今年213冊目)

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