『学芸員の観察日記』 滝登くらげ 216
博物館や美術館の学芸員というお仕事、すてきなお仕事だなと思うのですけど、実際の所どんなことをしているのか?どうしたら学芸員の資格が取れるのか?そもそも、学芸員として就職するにはどうしたらいいのか?すべてが「?」だらけのお仕事だなと思っていました。
この本で、学芸員の方たちが具体的にどういうお仕事をしているのかがとてもよくわかるのですが、わかればわかるほど、こういう大事な仕事をされているのに、待遇が悪すぎると思えてならないのです。
海外と比較して人数が少ないということもあって、ひとりで何役もこなさなければならないというところもあるし、展覧会直前などは泊まり込みで作業をしたりされています。それに、非正規雇用の方も多いというし、このお仕事が好きだからということに博物館や美術館が甘えすぎであるような気がします。
図書館の司書、学校の教員、保育士、介護士、看護士などもそうですけど、大事なお仕事なのにそれに見合った待遇ではないのは、日本の文化水準が低いからなのかしら?
博物館では、時には天然記念物の生物の保護も行ったりもするというのは驚きました。確かに、仕事の範疇と言われれば範疇ですけど、そういうこともやらなければならないという現実を、もっと一般の人たちにも知ってもらった方がいいと思うのです。
たいへんなこともいろいろあるけれど、でも、このお仕事が好きで頑張ってらっしゃる学芸員の方たちへ、無理して身体を壊さないでくださいねって声を掛けたくなってしまいます。
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