『京都「私設圖書館」というライフスタイル』 田中厚生 244
「私設圖書館」に本は置いてあるけれど、ここへやって来る人達のほとんどが勉強する場所として使用しているのが面白いのです。公営の図書館でも勉強はできるけれど、閉館する時間が意外と早いから、会社帰りに寄ろうと思っても使えないことが多いのです。ここの営業時間は平日は正午~午後11時まで、土・日・祭日:午前9時~午後11時まで(2023年9月現在)。これなら夜の時間に使うことができます。
図書館が有料って?と思う人もいるだろうけど、こういう需要があるのは確かなのです。BGMなしで店内は静か、周りに人がいてもそれが邪魔にならない。どちらかと言えば、周りに人がいるからこそ落ち着く。本を読む人、勉強する人、じっと考える人、それぞれにとって快適な場所なのです。
スタバがサードプレイスという言い方をしているけれど、自宅・学校や職場・そして第三の場所、そういう場所を求める人が多くいるのは、何故なのだでしょう?普段自分がいるのとは別の場所に行くと、別のスイッチが入るということなのでしょうか?
ここは有料といっても、そんなに高額の料金ではないので、いつもお金の問題を抱えていました。そこで田中さんは、40歳を過ぎてから会社員になったそうです。会社を早期退職した後は不動産関係の資格を取って、そちらのお仕事もなさっているようです。だから「私設圖書館」は今もやっていけているのかしら。
田中さんがこういう場所を作ろうと思ったのは、「型にはまらない生き方」を目指したからなのですが、その心意気は、ここへやってくる人たちに確実に伝わっていると思います。
ここを愛してくれる人たちがノートに残していってくれた言葉が、どれもステキでした。それを読んでいると、ここにやってくる人たちのために、この店を続けなければならないという気持ちが強くなっていくのだろうなと思います。
京都へ行く機会があったら「私設圖書館」へ行ってみたいなぁ、というより、「私設圖書館」へ行くこと自体を目的に旅をしたいな。
この本を出版しているコトコトという出版社は、京都を紹介する書籍専門なのです。この出版社にも興味が湧きました。
2906冊目(今年244冊目)
« 『名もなき本棚』 三崎亜記 243 | トップページ | 『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』 島崎今日子 245 »
「日本の作家 た行」カテゴリの記事
- 『「書く」って、どんなこと?』 高橋源一郎 25-63-3459(2025.03.08)
- 『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』 辻山良雄 25-66-3462(2025.03.11)
- 『少年とリング屋』 TAJIRI 25-67-3463(2025.03.12)
- 『奇想の江戸挿絵』 辻惟雄 25-62-3458(2025.03.07)
- 『真・プロレスラーは観客に何を見せているのか』 TAJIRI 25-44-3440(2025.02.17)
「図書館」カテゴリの記事
- 『図書館を学問する』 佐藤翔 25-87-3483(2025.03.31)
- 『移動図書館ひまわり号』 前川恒雄 24-258-3284(2024.09.09)
- 『ぼくの図書館カード』 ウイリアム・ミラー 24-228-3254(2024.08.11)
- 『図書館は生きている』 パク・キスク 24-148(2024.05.23)
- 『夜明けの図書館 6』 埜納タオ 24-106(2024.04.11)
« 『名もなき本棚』 三崎亜記 243 | トップページ | 『ジュリーがいた 沢田研二、56年の光芒』 島崎今日子 245 »
コメント