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『まちの本屋』 田口幹人 242

Matinohonya

まちの本屋

知を編み、血を継ぎ、地を耕す

田口幹人(たぐち みきと)

ポプラ文庫

 「電車のなかで本を読む」で紹介されていたこの本、今の時代において大型店とは別の切り口で生きている「まちの本屋」の大変さと、たのしさが混ざり合って、色々と考えさせられました。

 田口さんは実家が個人経営の本屋さんでした。そこを継ぐことを前提に大きな書店に勤めてから実家を継ぎ、結局はそのお店をたたみました。そんな彼が再就職したのは、盛岡の「さわや書店フェザン店」でした。

「時代を疑うこと」
「少数派に寄り添うこと」
「当事者意識を持ってもらうこと」P193

 これがこのお店のポリシーです。

 お店で独自に推す本という話がいろいろ登場します。その中でも「郷土コーナー」の話はとても印象に残りました。通常は、郷土の歴史や伝承、名物などが並ぶ棚に、季節やその時節の話題の本も並べてしまうのです。山菜がおいしい季節には山菜の本が、森岡近郊の中学生がいじめに遭って自殺したとニュースで報じられると、いじめに関する本が、このコーナーに並ぶのです。

 全国で売れている本だとしても、この地域では興味を持ってもらえないものもあります。逆に、地域に密着したテーマの本を、臨機応変に並べることができるのは、本を買ってくれる人の顔が見える書店だからこそできることです。そういう所が「まちの本屋」の面白さなのですね。

 「どうして岩手に原発ができなかったのか?」というPOPとともに並べられた「吾が住み処ここより外になし 岩見ヒサ」という本の話も実に面白い!こんな風に薦められてしまったら、読むしかないじゃないですか!

 現在は、更に違う仕事をされている田口さんですが、目指しているのは「人と本が巡り合う場所を作る」ということです。リアルの書店だからこそ、「別の本を買うつもりで来たのに、違う本も買ってしまった」というような、出会いがあるのです。表紙が気にいったから、POPのことばに惹かれたから、書店員さんから薦められたから、そういう出会いを生み出す場所を作っていくって、とても魅力的だし、大事なお仕事だと思います。これからもまた、新しい何かを試して行かれるのでしょうね。

 

 また、気になる本が色々と見つかりました。

・思考の整理学 外山滋比古
・地方消滅 益田寛也
吾が住み処ここより外になし 岩見ヒサ
おもかげ復元師 笹原留似子
・もういちど、本屋へようこそ 田口幹人
・書店員X「常識」に殺されない生き方 長江貴士

2904冊目(今年242冊目)

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