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『「空気」を読んでも従わない』 鴻上尚史 273

「空気」を読んでも従わない

鴻上尚史(こうかみ しょうじ)

岩波ジュニア新書

欧米では、ちゃんと生きるためには、「自尊意識」を育てないといけないと考えています。自分のことが大嫌いな人、自分なんて価値がないと思うひとでは、人生を素敵に生きていくことができないからです。
だから、小学校1年生から「あなたはかけがえのないあなたです」という教育をするのです。
日本の教育は何でしょう?どういう教育を受けてきましたか?
「人に迷惑をかけないようにしよう」じゃないですか?
見事に「同調圧力」に敏感になる教育ですよね。
「世間」に生きる日本人向けの教育と言っていいと思います。

でもね、人は人に迷惑をかけないで生きていくことはできないと僕は思っているのです。
この国で、同調圧力に負けないでちゃんと生きていくためには、知恵をつけることです。
そして、表面的な出来事に振り回されるのではなく、物事の本質を見つめることが大切なのです。

 

 良くも悪くも日本人が大事だと思っているのは「周りに合わせる」こと、「迷惑をかけない」ことなのだと思います。一見よさそうに思えるこの考え方だけど、これこそが生きづらさの原因なんです。

 たとえば「制服」というのはその象徴的なことだと思います。その制服の定義(スカート丈とか、靴下の色とか)が何故決まったのかとか、疑問に思うことがいろいろあっても、それに対して質問すらしてはいけないというルールは、本当はおかしなことなのに、まかり通ってしまっています。そもそも、何で制服があるの?って考えたことない人が多いんじゃないかしら。

 先生は年長者でエライ人だという刷り込みも、本当はおかしいはずなのです。その人が、尊敬できるような内容の人だったら尊敬に値するけれど、歳をとっているだけでエライなんてことはないのです。なのにそれを強要するような人って、たぶん自分の中身のなさを自覚しているからこそ偉ぶって見せたいのでしょうね。

 

 本当は嫌なのに断れないというのは、とても嫌なことです。ママ友も、クラスメートも、会社の同僚も、無理して付き合っているという話をよく聞きます。どうして断れないのかの根っこにあるのは「周りに合わせないとひとりぼっちになってしまう」という気持ちなんだけど、「嫌な人と無理に一緒にいる」のと「ひとりぼっち」のどっちが嫌なのかな?ってよく考えたらわかるはず。

 

 わたしが通っていた高校には標準服というのはありましたけど、制服はありませんでした。夏になって熱くなると、Tシャツに半ズボンにビーサンの男子が増えました。寒い冬には綿入半纏を着てくる子もいました。西城秀樹みたいなベルボトムの先輩もいました。それで何の問題もなかったのです。制服を着ていないと勉強ができないなんてことはないんですから。

 それなのに、数年前に母校が制服を取り入れてしまったのです。それに怒っている同窓生がいました。そりゃそうですよ、自らを枠にはめようと思う後輩が出没するなんて悲しいですもの。

 でも、そういう若者が増えているとしたら、そりゃ世間に潰される人も増えるということですよね。そんな彼らに誰がした?

 空気とか、同調圧力とか、世間体とか、そんなもの捨て去って大丈夫ですから。最初は不安かもしれないけど、しばらくしたら、それがないとダメだって思わされていただけだって、きっと気づけるから。そんな鴻上さんの言葉を信じてください。

 「世間」にだまされちゃダメだって!

2935冊目(今年273冊目)

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