『それは誠』 乗代雄介 271
佐田誠くんは高校2年生、仲がいい友達がいるわけでもなく、部活をしているわけでもなく、他にやることがないから学校へ行ってます。でも、学校へ行きたくないなぁと思ったら先生に電話は入れます。そうしておけば面倒なことにならないってわかっているから。
もうすぐ修学旅行なんだけど、どこの班に入るかなんてどうでもいいやって思ってます。でも、修学旅行で東京へ行くのは楽しみなんです。自由行動の日に何とかして自分だけ抜け出して、ずっと会っていないおじさんに会いに行きたいと思っているのです。
「修学旅行で自由行動できる権利は先輩が勝ち取ったものだから」という高校生たちの言葉にビックリしました。だって、わたしが通っていた高校では、そんなこと当たり前だったから。班ごとにざっくりと行動予定は出していたけど、「夕食時間までにかえって来いよ~」という縛りしかなかったんです。まぁ、行先が京都だったからそんなに心配されなかったのかなぁ。
今時の高校生は自由行動といってもGPSを持たされ、いざとなれば電話がかかってきます、あくまでも監視下に置かれてるわけです。でも、その監視の目を潜り抜けておじさんがいる日野まで行ってみようというのは、ちょっとした冒険ですね。
旅行の班分けは、誠くんが学校を休んでいる間に決まっていました。その班のメンバーに計画を話したら、最初は誠ひとりで行くはずだったのに、なぜか男子が何人か同行することになって、アリバイ作りに女子も協力してくれることに。
満員電車にビックリしたり、ごはんを食べる場所を探したり、最初はバラバラだった男子たちが少しずつ仲良くなっていくのは、そういう障害をひとつずつクリアしていったからかなぁ。
誠くんが抱えていた人生のモヤモヤも、彼らのおかげで少し軽くなったような気がします。友達がいるっていいことだよ!
2933冊目(今年271冊目)
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