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『おもかげ復元師』 笹原留似子 251

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おもかげ復元師

笹原留似子(ささはら るいこ)

ポプラ文庫

 お亡くなりになった方のお顔をできるだけ生前の表情に戻すというお仕事をされている笹原さん。事故や病気の影響で顔色が変わってしまったり、変形してしまったりすることがあります。また、亡くなってから時間が経ってしまったりした場合などは、元の顔を想像するのも難しい場合もあります。

 でも、遺族の方に最後のお別れをしてもらうために、最善の努力をするのが自分の務めと考えている笹原さんです。

 

 そんな彼女が東日本大震災で多くのご遺体が集められた場所へ行ってショックを受けたのです。たとえDNA鑑定でご家族だと確認できても、最後に一目顔を見てお別れを言いたいと思うのが人情です。そのために、現地に泊まり込んでボランティア復元師として働かれたときのお話が中心になっています。

 笹原さんは、ボランティアで300人以上の亡くなられた方の顔を復元されました。被災地で最初に出会ったのは、身元不明のため両親の許可を得られず、復元できなかった3歳の女の子との出会いだったのです。彼女に「何もしてあげられなかった」という思いが、ひとりでも多くの人を家族と再会させてあげたいという熱意の元となったのです。

 津波や土砂崩れで亡くなった妻の姿を見たお父さんが、子どもたちには見せられないとおっしゃっていたのです。でも笹原さんが復元した彼女の顔を見て、子どもたちも顔に触って「お母さんだ」と叫び、お父さんも初めて泣くことができたと言われたときに、「泣けるようになってよかった」と笹原さんは思われたそうです。

 お腹に赤ちゃんがいる状態で亡くなった女性が火葬されたとき、その赤ちゃん用にと火葬場の方が小さな骨壺を用意してくださったのです。骨を収めた骨壺を、その女性の父親(赤ちゃんのおじいさん)が両腕で掲げて「高い、高ーい」したという話には、そのシーンが頭の中に浮かび、思わず涙が流れてきました。

 とにかく、この本を読みながらどれだけ泣いたことか。このレビューを書きながらも泣けてきます。

 

 近頃、自殺する人が増えています。もちろん、いろんなつらいことがあって死にたいと思うのでしょうが、死ぬ前にこの本を読んください。

 そして、自分が死んだら、残された家族が、友人が、どれだけ悲しむのかを、知ってください。

2913冊目(今年251冊目)

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