『ある行旅死亡人の物語』 武田惇志、伊藤亜衣 249
行旅死亡人(こうりょしぼうにん)とは
病気や行き倒れ、自殺等で亡くなり、名前や住所など身元が判明せず、引き取り人不明の死者を表す法律用語。行旅病人及行旅死亡人取扱法により、死亡場所を管轄する自治体が火葬。死亡人の身体的特徴や発見時の状況、所持品などを官報に公告し、引き取り手を待つ。
2020年4月、兵庫県尼崎市のアパートで女性が孤独死しているのが発見されました。現金3400万円、銀行の預金通帳、数十枚の写真などが部屋に残されていました。住んでいたアパートの賃貸契約書に書かれていた名前は男性の名前で、大家さんや近所の人に聞いても、その男性を知る人はいませんでした。
この女性は右手の指が欠損していたのですが、その障害の届出がなかったり、買い物の領収書や郵便物などもなかったり、意図的に身元が分からないようにしていた可能性が高かったのです。お風呂もないアパートに40年も住んでいたのに、高額の現金は残していたり、保険証がなかったり、謎だらけのこの女性、いったいどのような人だったのでしょうか。
共同通信社の記者が、彼女の身元捜しの調査を始めても、とにかく資料となるものが全く見つからないのでした。唯一の手掛かりが「沖宗」という印鑑でした。この珍しい苗字の人を探すというところから、調査が始まります。
孤独死したとしても、通常は住民票や戸籍から身元が判明します。親戚や知人を辿っていけば、どこかには辿り着くはずなのです。でも、まったく手掛かりが見つからないということもあって、そういう場合には、死亡場所を管轄する自治体が無縁仏として弔うこともあるのだそうです。
親戚などと縁を切っていたリ、偽名を使っていたりという場合だけでなく、そもそも家族や友達がいない場合などにこういう問題が発生する可能性があります。まるでミステリーのようなお話ですけど、これからの時代、自分もそうなる可能性があると考えておいたほうがよさそうな気がします。
この方の場合、記者の方たちの熱意によって、最終的には身元が判明して本当に良かったと思います。でも、そういう捜索をしてくれる人がいない方がほとんどなのですよね。
結局、彼女のお骨を収める場所はわかったけれど、彼女がどんな人生を送ってきたかは謎のままでした。ホントは、そこも知りたかったのにね。
2911冊目(今年249冊目)
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