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『ぼくが子どもだったころ』 エーリヒ・ケストナー 268

ぼくが子どもだったころ
Als ich ein kleiner junge war

エーリッヒ・ケストナー
Erich Kästner

ホルスト・レムケ 絵
Horst Lemke

池田香代子(いけだ かよこ) 訳

岩波少年文庫628

 この本ではエーリヒが15歳になるまでの思い出が語られていますが、実はもっと前、エーリヒの両親が生まれた頃から話が始まります。それは、エーリヒがどういう両親に育てられたのか?という点が重要だと考えたからでしょう。

 エーミールは鞄を作る職人で腕はいいけれどお金を稼ぐということはあまり考えていない人でした。イーダと結婚し、1899年にエーリヒが誕生します。ひとりっ子の彼を両親はそれはそれは大事に考えていました。家計の足しにと下宿人を探したところ近所の学校の先生が借りてくれるようになりました。その影響でしょうか、エーリヒが「将来は先生になりたい」と言い出したことで生活が一変します。

 それまで母親のイーダは内職的な仕事はしていましたけれど、これでは足りない、もっと稼がないとエーリヒを上の学校へやることができないと考え、35歳にして美容師の資格を取ったのです。家の片隅に美容院のコーナーを作り、きっと才能もあったのでしょう、ご近所で評判の店になりました。店まで歩いてこられない人のために出張したり、時には結婚式の花嫁や親戚の人たちの髪をセットする仕事も受けていました。

 忙しい母親のために、エーリヒは一生懸命にお手伝いをします。下宿人のご飯を運んだり、母親が出張するときにはカバン持ちをしたりもしました。

 母親の方がパワーがあるせいか、父親はちょっと影が薄い感じがしますけど、エーリヒは決して父をないがしろにしていたわけではありません。要領は悪いけど誠実な人だということは認めていたのだと思います。だからこそ「エーミールと探偵たち」の主人公の名は父からもらったのでしょう。

 

 子ども時代のいたずらや体験が彼の作品に大いに生かされていたということが、この本を読んでよくわかりました。馬を売買してお金持ちになった伯父さん夫婦のこと、体罰をする先生のこと、小さな頃から働く子どもたち、母親と山を歩いたり、お芝居を見たりしたこと、父親がランドセルを作ってくれたこと。そして、ドレースデンという美しい街で育ったこと、1945年の空襲でこの街が破壊されてしまったこと。

 エーリヒ・ケストナーという人の繊細さも、強さも、すべてがこの子ども時代に培われたものなのです。様々な経験を彼に与えてくれた両親や町の人たちに感謝です。

2930冊目(今年268冊目)

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