『江戸染まぬ』 青山文平 283
お武家様といっても、下級武士の次男ともなると大変だったんですねぇ。婿養子の口があれば御の字だけど、そういう運にも恵まれず、ずっと実家に住み続ける厄介叔父になってしまって肩身の狭い思いをする人もいたのですね。
ご隠居さんになってから、趣味と実用を兼ねて書写の仕事をしていたら、それが禁書の書写だったということで流刑になってしまったり。
生きづらかった武家の人たちの話って、なんだか現代のサラリーマンとも似ているのですね。
・つぎつぎ小袖
わたしは書肆をうきうきとした気持ちで巡る。夫に漢籍(本)を買ってあげたいと思っているから。
・町になかったもの
紙問屋の晋平は初めて江戸へ出て、書肆に並ぶ多くの本に心惹かれた。
・剣士
わたしは俗にいう厄介叔父だ。父の代には次男坊として、兄の代には弟として、兄の長子の代には叔父として、ずっと直に居座って無駄飯を食い続けている。
・いたずら書き
目安箱へ入れて欲しいと父から頼まれた書状を、わたしは燃やしている。
・江戸染まぬ
お屋敷の下女「芳」を里へ送り届ける仕事をいい使ったのだけれど、この女がお屋敷から追い出されることになった顛末を知ると、俺はこの女が不憫に思えてしょうがない。
・日和山
部屋住みの次男坊だった男は、めでたく婿養子に入れるはずだったのですが。
・台
次男坊の俺は、堅物の兄が下女に好意を寄せているのを見て、わざと下女にちょっかいを出したのだけど。
この本のタイトルにもなっている「江戸染まぬ」は、2022年にいくつかの賞を受賞した長編『底惚れ』の原型だということで、この作品も読んでみたくなりました。
2945冊目(今年283冊目)
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