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『ロッタの夢』 ノーマ・ジョンストン 258

ロッタの夢
Lotta's Progress

ノーマ・ジョンストン
Norma Johnston

谷口由美子(たにぐち ゆみこ)訳

平澤朋子(ひらさわ ともこ)絵

岩波少年文庫 258

米国

 ロッタの家族は、1948年11月にドイツからアメリカのボストンへやってきました。それから数か月たつのだけれど、期待したような生活にはなっていません。お父さんは仕事が見つからず、子どもたちが学校へ通おうとしても、英語がわからないから入れてもらえないのです。

 ロッタはボストンまでやって来る船の中で英語の勉強をしていたので、少しは話ができます。でも他の家族は英語が全く分かりません。だから仕事を探すことも、お医者さんにかかることもできないのです。それでも、一家揃って暮らせているのは幸せだとお母さんは言うけれど、このままではどうにもならないとロッタは心配していました。

 そんな一家に救いの手を差し伸べてくれたのはオルコット一家でした。食物や衣服を工面してもらったおかげで、生活は少し良くなってきたけれど、お父さんは相変わらず仕事が見つからず、不機嫌なことが多くて困るのです。

 お母さんは牧師の娘なので、子どもたちにドイツ語の本を読み聞かせしてくれます。英語はわからないけれど、アルファベットはわかるので地名や人の名前は読めます。でもお父さんは、英語が話せないだけでなく、ドイツ語の読み書きもできません。だからサインも「X」と書くことしかできません。本当は読み書きができた方がいいのに、女性であるお母さんから習うのはプライドが許さないらしいのです。

 アメリカへ行けば仕事がある、生きていけると夢を抱いてやってきた移民が、まずぶつかるのが「言葉の壁」でした。ロッタの家族もそうだったし、ご近所に住むアイルランドからの移民の一家もそうでした。

 

 日本でも外国からやって来る人たちが増えてきました。わたしの友人に、小学校で「通訳ボランティア」をしている人がいます。日本語で行われる授業の通訳がメインの仕事ですけれど、子どもたちは1年もすれば日本語を不自由なく使えるようになるのだそうです。それより問題なのは親の方で、学校から配られる「お知らせ」を彼らに読んで説明するということが、とても大切な仕事なのだそうです。

 「遠足」「運動会」「家庭訪問」などの意味を説明すること。「持ち物に名前を書いてください」と指示があっても、書けない人もいます。「先生と面談」にも通訳が必要です。

 そういう細かいことを役所や学校がやってくれるわけではなく、ボランディア頼みなのです。ロッタの場合はオルコット家というボランティアのさきがけのような人たちに巡り合えたのが幸いでした。

 

 新しい環境で暮らすようになったとき、それに上手く適応できない父親の姿が印象的でした。その原因が言葉だということに、本人は気づいていたのでしょうけど、それを相談できる人がいなかったのです。

 ロッタは学校へは行けなかったけれど、オルコット家の人たちを通して本を読むようになり、言葉を覚え、社会の仕組みを知っていきました。そして、困ったときに相談できる人を見つけたのです。その差は大きいなと感じました。そして、女性も働いてお金を稼ぐことができるということを知ったのも重要です。

 

 「若草物語」のオルコット一家が登場するこのお話、フィクションとノンフィクションが一緒になっていて、当時の生活が目に浮かぶようでした。ボストン・コモンはこの頃からあったのですね。レキシントン、コンコードなどの地名にも思わず懐かしい~と呟いてしまいました。

2947冊目(今年285冊目)

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