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『その情報はどこから?』 猪谷千香 281

その情報はどこから?

猪谷千香(いがや ちか)

ちくまプリマー新書 320

 わたしたちは情報過多の世界で生きています。昔なら新聞を読むとか、テレビを見るというようなことでしか得られなかった情報を、今はスマホで知ることができます。スマホにプッシュされてくる情報は、知るというより与えられている状況とすら感じます。知らないでいれば、それですんでいたはずの情報に翻弄され、意味のない劣等感に苛まれたり、不必要な悩みを背負ってしまったりすることが増えてしまったのです。

 

新聞を読み慣れていないと、一見複雑そうですが、一度覚えてしまえば、とても便利なルールです。なぜなら、トップと肩、その他の記事では歴然とした「序列」があり、重要度が違ってくるからです。忙しいときにはトップ記事さえ読んでおけば、なんとなく世の中の流れが掴めました。
ところが、ネットに流れてくる記事は並列化されてしまいます。たいていのメディアのサイトでは、上からどんどん新しい記事が配信され、古い記事は下に流されていきます。「序列」よりも「時系列」で、記事はサイト内に配置されることが多いのです。p36

ネット上の「声の大きさ」と、現実にその声に賛同する「人の多さ」は、イコールと考えないほうがよいのです。P73

 誹謗中傷の被害に遭っている人がどんなに「それは違います」と言っても、意に介さずにたたき続けようとする人がいます。何故誹謗中傷になるような発言をするのかと問いただすと「ネットで見た」ということが非常に多いのです。でも、その情報が本当のことなのかを調べようとはしないのです。なぜなら、自分がやっていることも、自分が得た情報も、すべてが正しいと信じているから、自分は正しい行動をしていると錯覚してしまっているのです。

 自分が知ってしまった情報にどんな意味があるのか、それが自分にとって必要なのか否か、そもそもその情報は嘘ではないのか。そういうことを常に考えなければならない状況になっています。

 

webサイトはそれぞれ異なるユーザーが見たいと思う情報をユーザーに合わせて提示するようになります。~中略~
パーソナライズされたネット書店では、「私が読みたい本」はどんどん見つかるかもしれませんが、実は今まで知らなかった本屋好みではないと思っていた本、「私が知らない本」との出会いを失っている危険性もあるのです。P94

 これは、本だけの話ではありません。あらゆるものが「あなたは、これに興味があるでしょ」「最近、これを買いましたよね」という情報をもとに、ネット広告があらゆるところに出てきます。それに乗って買い物をしたり、情報を得ていたとしたら、相手の思うつぼです。あなたはネット上の誰かに消費や思考をコントロールされてしまっているのです。

 いわゆるインフルエンサーの記事は、すべてが広告だと思って間違いありません。それなのに、どうしてそんなに夢中になるのか?ちょっと立ち止まって考えてみると、そのカラクリに呆れてしまうことだってあります。

 

 TVの「二重まぶた」整形の広告で、画面の下の方に小さな文字で「モデルはこの施術を行っていません」という但し書きがあるのを見つけて、なんだそりゃと思ったことがあります。本当に施術した人をモデルに使っているのではなく、あくまでもイメージとしてきれいな人をモデルとして使っているだけなんです。

 そんなことが世の中にはたくさんあります。いかにもな看板に騙されたり、キャッチコピーに騙されたり。そんなことにならないようにするには、一度立ち止まって、考え直してみること。それしかないのでしょうね。

2943冊目(今年281冊目)

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