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『泣くな道真』 澤田瞳子 302

泣くな道真

大宰府の詩

澤田瞳子(さわだ とうこ)

集英社文庫

 京の都で右大臣だった菅原道真が大宰府へやってきました。彼は大宰権帥(だざいのごんのそち)となったのですが、この役職は中央で失脚した大臣経験者が就くもので、要するに左遷だったのです。

 都から大宰府へ下るときにも馬もなく、お付きの者も最小限。あてがわれた家はあばら家。それはそれは酷い待遇だったのです。左遷された理由も明らかに嘘で、それを納得できない道真は、大宰府へ来てから暴れまくっていたのです。

 彼のお相手を任ぜられた穂積は、これまではいかにして働かずに済ませるかだけを考えてきた男。この難敵のお相手をするにはどうしたらいいのか途方に暮れていました。

 そこへ登場したのが恬子(しずこ)さん。美人で教養豊かな彼女は、これまで言い寄って来る男たちを見事にあしらってきたのですが、気がついたら、意外と歳を取ってしまったなと感じているところです。大宰府にいる兄の元へ身を寄せるようになって、ここで出会った道真さんと意気投合してしまったんです。

 

 左遷された怒りで怨霊となり、その怒りを鎮めるために天神様としてお祀りされることになった道真さんですけど、実際にはこんな人じゃなかったのかなぁという想像で書かれたこの物語、道真さんの人間っぽさが前面に出ていて、都から来たイヤミな男を追い返すところなど、なかなか面白かったです。

2964冊目(今年302冊目)

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