『未来の年表 業界大変化』 河合雅司 301
2030年頃に患者不足が起こる
これは意外な事実ですよね。高齢者が増えて患者が増えるということしか考えてこなかったのに、後5年先には患者不足ということは、地方の病院や開業医がやっていけなくなり、そこに住む人達の診療はリモート化?それだけでは無理でしょう。結局は医療機関で受診するために大都市へ行かなければならないということになってしまうのです。
多死社会なのに「寺院消滅」の危機
田舎にあるお墓を「墓じまい」して、自分が住む場所の近くの共同霊園に移動しようと思っているという話を、先日友人から聞いたばかりだったので、これは急速に進むことなのだと感じました。きちんと墓じまいする人はまだいい方で、放置されてしまうお墓もこれからは増えていくはずです。
それに、お葬式自体の規模も小さくなってきています。その理由の一つが「超高齢者の会葬者が少ない」ということなのです。昔なら祖父母が亡くなった時ですら会社関係の人が来てくれたりしてましたけど、今はそういう時代ではありません。葬儀にはかなりの費用が必要ですが、それを準備できるだけの経済力のある人だけではないのです。家族葬が一般的になり、火葬場への「直葬」を選ぶ人も増えています。
お骨をお墓に納めるにはかなりの費用が必要です。将来にわたってかかる費用のことを考えたら、「散骨」の方がいいという人も増えています。これは葬儀場の受付の派遣スタッフをしている友達に聞いた話です。いずれにせよ、お寺にお金を使わない人が増えていくのは間違いありません。
8.4人に1人が東京生まれ
若い女性は都会へ向かいます。最初は大学だけのつもりだったけど、故郷へ戻っても就職先がない、あるいは賃金が安いということで、都会で就職してそのまま暮らす人が増えています。結婚しようとしまいと、面倒くさい故郷へ帰りたくないということもあります。若い女性がいなければ子どもは生まれません。おのずと地方の出生率が少なくなるのです。そして、小中学校に通う子が減り、学校が統廃合されてしまいます。これは地方だけでなく、都会への通勤圏であっても同じです。
こうして都会へ、特に東京への人口集中が進んでしまうのです。
先日の参議院補欠選挙で、「徳島県及び高知県選挙区」ということに驚きました。隣り合った2つの県で1人の代表って、人口比としては平等かもしれないけれど、でも納得できない状況だなと思うのです。
文化庁が京都へ移転するということが大きく報じられましたが、他の省庁も様々な地方へ移転した方がいいのかもしれません。たとえば国会が沖縄へ移転したら、世の中は随分変わるんじゃないかしら。
もの凄いスピードで世の中は変わっていきます。その後を追いかけて、結局追いつけないまま走り続けている日本という国。もうオワコンな万博やオリンピックを追いかけてる場合じゃないのにねぇ。なによりも「人権」が一番大事と考えられる世の中にならないかなぁ。
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