『お家賃ですけど』 能町みね子 312
能町さんは、牛込神楽坂にある築40年以上の木造アパート「加寿子荘」を一目見たときから気に入ってしまいました。お風呂はないし、洗濯機も置けないアパートだけど、その風情の良さに心惹かれ、ここに住むことにしたのです。
1年ほど住んだ後ここを引き払ったのですが、そこから1年9カ月後に加寿子荘へ戻ってきたときには、名前と性別が変わっていました。そして、借りたお部屋は風呂付にバージョンアップです。最初は同一人物だと気付かなかった大家さんでしたけど、お家賃を渡しに行くうちに「そうだったのね、うふふ」と気がつき、優しく接してくださるのでした。
能町さんがここに住み始めた頃には、神楽坂は今ほど人気がある場所ではなかったので、のんびりした暮らしができたのですけど、高層マンションが建ったりして、少しずつこのあたりの良さが損なわれていくことに心痛める能町さんでした。
せっかくのステキな町の風情を壊す高層ビルなんか「爆破してやる!」と思う能町さんの気持ちに、友達も家族も「あれは邪魔だよね」と同意してくれます。アパートの大家さんも勿論「困ったものだわ」とおっしゃいます。
とりあえずOLさんをしていた能町さんですけど、ここに住んでいた時代から少しずつ現在のお仕事が始まっていたようです。ペンネームで届く郵便物のことを大家さんに説明するのにちょっと苦労したみたいだけど、それもまた楽しい思い出ですね。
この本の中に数枚「加寿子荘」の写真が載せられているのですけど、その雰囲気がとっても昭和で、こういうところを能町さんは気に入ったのでしょうね。
2974冊目(今年312冊目)
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