『百鬼園随筆』 内田百間 322
「百鬼園事件帖」に登場した百閒先生のことが気になっていたのです。表紙の絵は芥川龍之介が描いた百閒先生の似顔絵です。きっとこの2人は仲良しだったのでしょうね。
海軍機関学校や法政大学でドイツ語を教えていたというお堅い肩書を持つ方なのですが、人間としてはちっとも固くない、どちらかといえば「いいかげん」な百閒先生って、周りの人たちからはどう思われていたのかなぁ。
ドイツ人相手にドイツ語で話すのが面倒なので、ドイツ語が話せないふりをして通訳を頼んだのに、その通訳が間違ったことを言い始めると、「それは違う」と説明し始めてドイツ語が分かることがバレてしまったり。高利貸しに借金をしに行くのにドキドキして、高利貸しの家の前で悩んでしまったり。どうにも不思議なことばかりやらかす百閒先生です。
解説を書いているのが川上弘美さんというのは、なかなかいい人選ですね。どんな相手にも「イヤダカラ、イヤダ」と言える百閒先生のことを「スキダカラ、スキダ」と思っている川上さんの気持ちがとてもよくわかりました。
2984冊目(今年322冊目)
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