『からさんの家 まひろの章』 小路幸也 332
まひろの実の両親は幼い頃に離婚。父親は再婚した母親とともに事故で死亡。義母の妹に引き取られるも、彼女が結婚した相手の転勤で北海道へ行くことになるが、高校卒業間近だったので、同行せず、新しい父親の母が住む家に引っ越すことになった。
義理の祖母となった三原伽羅は、詩人で小説家で画家で、女優だったうこともある多才な女性。
18歳の神野(じんの)まひろは、祖母である伽羅さんの家へ引越してきました。伽羅さんとは初対面なのですが、会った瞬間からお互いに「いい人だな」と直感したのです。不思議だけど、そういう直感って大事よねというところも共感したのです。
伽羅さんの家にはすでに3人の人が住んでいました。新進の芸術家タロウさん、建築家志望の大学生柊也さん、そしてバーを営む歌手の祐子さん。生活スタイルはバラバラだけど、それぞれのことを尊重する気持ちがある人ばかりです。
まひろさんは、ここに住む人たちと一緒にご飯を食べたり、話したりするうちに、家族のような関係ができてきます。
日本では、血のつながりを重視する人が多いけれど、そうじゃないつながりだってあるんです。伽羅さんが言うように「夫婦だって元は他人」なんですもの、知らない同士が時間を共有するうちに少しずつ分かり合えることが増えてくるし、血縁でないからこそのいい距離感が持てるのかもしれません。
これからの時代、こういう自由な家族という形態で暮らす人が増えるようになったらいいなと思います。これまでの家族観について考え直すべき時期が来たのかもしれません。
2994冊目(今年332冊目)
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