『気がついたらいつも本ばかり読んでいた』 岡崎武志 324
私はこの年になって、そんなことも知らないのか、と自分の無知に驚くことがよくあるのだが、先日某所で話をしていて「向かい干支」という言葉があることを初めて聞いた。自分の「干支」の者を収集する、というのは聞いたことがあるが、十二支を時計の文字盤みたいに並べた時、対極にある干支を「向かい干支」と呼び、実は、これを収集すると運に恵まれる、というのだ。へえ、知らなかったなぁ。P99
この文章を読んでいて、岡崎氏とわたしは同い年だということに気がつきました。これまでずっと、わたしよりずっと年上な気がしていたのだけれど、そうか、だから岡崎氏が読んでいる「スペンサー・シリーズ」「伊丹十三」「植草甚一」や、音楽ネタに登場する「ガロ」や「細野晴臣」「坂崎幸之助」など、身近に感じる話が多いのはそのせいなのかぁ。
古本屋さんのおやじさんとの会話で「最近の人は植草さんを読んでいないから」という言葉にドキッとしてしまうのは、わたしも同じ。自分が古い人間になってしまったなと気がつくのは、こんな時なのです。
白山通り周辺に何軒か「いもや」はあるのだが、どこも行列。仕方なく「信金裏」点で並ぶ。ここは初めてだ。P125
「天ぷら いもや」、「天丼 いもや」、「とんかつ いもや」、どの店へ行っても安いし美味い。行列は当り前だから、いつも時間をずらして行ってました。カウンター席から天ぷらを揚げているのを見るのも楽しかったなぁ。今は「天ぷら いもや」しかないけど、また行きたいなぁ。
しかし、本書収録の初めてまとめられた書評群を読み介していると、つくづく「いつもほんばかり読んでいた」人生だったなあ、と思うのである。過去に書いたものが、こうして並べられると、書いた時の気持ちを思い出したりもして、ある種の感慨もある。(あとがき より)
この本に収められているのは、本のこと、映画のこと、音楽のこと、そして古書店のこと。圧倒的に本の話が多いのだけど、それだけ本をたくさん読んできたということ。旅のお供に本を選ぶ。旅先で古書店を覗いて本を買う。いつもバッグの中に本があるのが当たり前。そうこなくっちゃ!
章の合間のページの古書店の写真が、これまたいいのよねぇ。古書店の風情って、見ているだけで嬉しくなるし、古書の匂いがしてくるような気がしちゃう。
ああ、楽しい読書だった。
この本の中で紹介されていた『赤坂ナイトクラブの光と影「ニューラテンクォーター」物語』が、とっても気になってます。
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